偏差値71、東大志望の山岳男子に聞く「なぜ君は山を登るのか」 山の甲子園に挑む夏
なぜ、山を登るのか。登山家ジョージ・マロリーは「そこに山があるから」と言った。では、登山高校日本一に挑戦する、東大志望の“山岳男子”に聞いてみた。「なぜ、君は山を登るのか」――。
“山の甲子園”インターハイ登山に挑む、群馬のNO1進学校・県立前橋の凄さとは
なぜ、山を登るのか。登山家ジョージ・マロリーは「そこに山があるから」と言った。では、登山高校日本一に挑戦する、東大志望の“山岳男子”に聞いてみた。「なぜ、君は山を登るのか」――。
県立前橋高校。偏差値71、群馬NO1進学校の校舎に一歩足を踏み入れると、昨年の東大合格者十数人の名札がズラリと並ぶ。「質実剛健」「気宇雄大」を校訓とし、1877年に創立。第42代内閣総理大臣・鈴木貫太郎、芥川賞作家・半田義之、コピーライター・糸井重里ら多士済々を輩出した名門校がもう一つ、全国に誇るものがある。
それが、山岳部だ。この夏、“山の甲子園”で日本一の頂に挑む。
高校スポーツの祭典、全国高校総体。通称「インターハイ」の30を数える競技の一つに「登山」があることは、あまり知られていない。“前高(まえたか)山岳部”は5月の県総体を制し、8月3日から三重・鈴鹿山脈一帯を舞台に行われる夏の日本一決戦に3年連続出場を決めた。日本百景の一つ、赤城山にほど近い県内屈指の強豪校。キャッチフレーズは「山岳部から東大に」である。
「山は1人で歩くこともできますが、山岳部は1人が強くても結果は残せません。チームで歩く。チームでないと成し遂げられない。ともすれば、危険と隣り合わせの中で命の安全を第一に考えながら、互いに助け合い、一番を獲るんだという意識が大事になります。その中から大切なことを学び、みんなで成長していくことを一番に教えています」
こう語ったのは、山岳部の里見至監督。キーワードは、意外にも「登山=チームスポーツ」であること。登山を理解するためには、まず競技を正しく理解する必要がある。
登山といっても、いかに速く山を登るかを競うものではない。実は、採点競技だ。1校4人でパーティーを結成し、3泊4日の競技期間中に体力(30点)、歩行技術(10点)、装備(10点)、設営・撤収(10点)、炊事(5点)、気象(7点)、自然観察(8点)、記録・計画(10点)、救急(5点)、マナー(5点)の各項目(計100点満点)の合計得点で順位を競う。
競技は過酷そのものだ。大会は自衛隊と審判が同行。10キロ以上のリュックを背負いながら、地図を頼りに早朝から山に挑み、夜は自力でテントを張って野宿し、炊事もする。競技にはペーパーテストもあり、まさに知力・体力・精神力のすべてが求められ、互いの助け合いがなければ、勝つことができない“チームスポーツ”だ。