18歳で自分を守る「鎧」にメイクを選んだ日 安藤美姫がいまの女子選手に伝えたいこと
いまどきの女性アスリートに思う「もったいないなぁ」の真意
おしゃれをするだけがメイクじゃない。アスリートもメイクを楽しみながらモチベーションを上げるきっかけになる。安藤さんはスポーツを通し、メイクの魅力も伝えていきたい、と話す。
「話を聞くと、アスリート、特にトップアスリートは、メイクに興味のない方が多く、もったいなぁと思います。今、世の中のメイクの流行は、メイクやファッション業界から発信されますが、影響力、発信力のあるアスリートがメイクをすれば、『アスリートメイク』という言葉も生まれるのかなって。スポーツと美容ってまだ、意外とリンクしていないのですが、結びつけたら新しいパワーが生まれる気がします。
アスリートのはつらつとした雰囲気でメイクをしたら魅力的だと思うので、アスリートの皆さんにはどんどんメイクをしてほしいです」
安藤さんにとって、メイクとは何か? その質問に対し、「自分を支えてくれる、身近なアイテム」と即答する。
「現役時代は、弱さを強さに変えてくれた。今はその日、その日の心を楽しくしてくれる。それがメイクの力です。
メイクのいいところはスポーツと同じで、気分転換になること、そして、いろんな自分に会えることです。時には失敗もするし、まだまだ上手ではないけれど、朝起きて、メイクをするときはワクワクします」
かつて、自分を守る鎧だったメイクは、今や自分らしさを謳歌する最強のツールとなった。強く、楽しく、美しく。安藤美姫は人生という名の氷上で、これからも自身の物語を紡いでいく。
【女性アスリートが自分らしく、ありのままでいるために、必要なこととは?】
「ガマンを重ねれば、心も健康じゃない状態になり、結局、ベストパフォーマンスにもつながりません。アスリートも一人の人間です。自分の意見を言葉で伝える、喜怒哀楽の感情を出することによって、自分に向き合うことが出来ますし、新しい道が開けたり、パフォーマンスが上がったりすると私は思います。私は生きていくうえで、自分の心に素直でいることの大事さをすごく伝えていきたい。特にこれから育っていく若い女性アスリートたちには、自分が芯を持って取り組んでいることに対し、素直に突き進んでほしいと感じています」(プロフィギュアスケーター 安藤 美姫)
※「THE ANSWER」では今回の企画を協力いただいた皆さんに「女性アスリートが自分らしく、ありのままでいるために、必要なこととは?」と聞き、発信しています。
(「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」5日目は「女性アスリートとユニフォーム」、体操・杉原愛子が登場)
■安藤 美姫 / Miki Ando
1987年12月18日生まれ。愛知県出身。9歳からスケートを始める。2002年ジュニアグランプリファイナルで女子選手として史上初の4回転ジャンプを成功させ、2003年から全日本選手権を連覇。一躍、日本のトップスケーターとなる。五輪は2006年トリノ(15位)、2010年バンクーバー(5位)と2大会連続出場。2007年、2011年の世界選手権で優勝し、世界女王に。2013年12月、ソチ五輪代表権を懸けた全日本選手権で7位となり、引退を表明。現在はプロフィギュアスケーター、振付師として活動している。
<3月6日に「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント開催>
女子選手のコンディショニングを考える「女性アスリートのカラダの学校」を6日に開催。第1部は「月経とコンディショニング」をテーマに元陸上日本代表・福士加代子さんをゲストに迎え、月経周期を考慮したコンディショニングを研究する日体大・須永美歌子教授が講師を担当。第2部は「食事と健康管理」をテーマにボクシング東京五輪女子フェザー級金メダリスト・入江聖奈をゲストに迎え、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師を担当。1、2部ともにアスリートの月経問題などについて発信している元競泳日本代表・伊藤華英さんがMCを務める。参加無料。応募は「THE ANSWER」公式サイトから。詳細(https://the-ans.jp/event/224770/)。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)