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小学生の従妹に「男と女どっちなの?」と聞かれ トランスジェンダーの大学院生が伝えた言葉

須永教授の研究室で世界的に類を見ない研究を行う山田さん【写真:編集部】
須永教授の研究室で世界的に類を見ない研究を行う山田さん【写真:編集部】

「満月は男と女どっちなの?」と何度も聞いてきた小学生の従妹に伝えた言葉

須永「誰かが勇気と覚悟を持って、世間に向かってカミングアウトする必要がある。そのことに対しての残念な気持ち、でしょうか?」

山田「はい。以前、小学生の従妹から『満月は男と女どっちなの?』と何度も聞かれました。そのとき、小学生からすでに『男なのか女なのかをはっきりしたい』という考えが『当たり前』なんだなと感じました。そこであるとき、『それを聞いたところで何になるの?』と質問すると、しばらく考えた後、『別に何もならないね』と彼女。私が『そうであれば、聞く意味はないんじゃない?』と返すと『確かに!』と答え、その時を境に、何も聞かなくなりました。

 自分が従妹に対してそう質問したのは、小さな頃から人と接する際、男だから、女だからではなく、目の前の『その人』に対して何を感じるのかを捉えたうえで、関係性を築いてほしいという想いがあるためです。これは男女の区別だけに限りません。いろんなことを決めつけないで、一人ひとりと接する気持ちを大切にして欲しいなと考えます。

 男と、女と、LGBTと、はっきりとわからない人と、と、性のカテゴリーはいっぱいあります。シスジェンダー(法律上の性別と性自認が一致している人)の方が私は男です、女ですとわざわざ言わないように、誰もが何も聞かれなくても、『あの人はそう(LGBT)かもしれない』などと気にされなくてもよい社会になればいいなと考えています」

須永「そうですね。これまでの社会は限られた人々の価値観で物事が決められてきました。スポーツ界も今、性のあり方に限らず、パラアスリート、女性アスリート、人種と、多様性を認める社会に向け、まさに過渡期にあると感じます。誰かのカミングアウトすることがニュースにならないようなインクルーシブな世界を、皆で築いていきたいですね」

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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