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2人目の妊娠中に「怖くなりました」 一度は主婦になった馬淵優佳、訪れた現役復帰の転機

産後特有の体の痛みを寺田明日香に相談した【写真:松橋晶子】
産後特有の体の痛みを寺田明日香に相談した【写真:松橋晶子】

体を襲った産後特有の体の痛み、同じ境遇だった陸上・寺田明日香に相談

 ゼロからの肉体改造。課題は山ほどある。しかし、定めた目標の大会から逆算すると、一つ一つ段階を踏んでやる時間的余裕はない。骨盤のトレーニング、体幹のトレーニング、高重量の筋力トレーニング。トレーナーと相談しながら、本来、段階を踏みながら行うトレーニングを同時に進めている。

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「高重量のウエートを持ち上げると、骨盤がきしむ感じがして、全体が痛くなるんです。これも多分、産後特有。専門の方に聞いてみると、やはり経産婦に多い症状みたいです」

 初めて感じるこれらの痛みに、どう対応していけばいいのか――。悩みは同じく、結婚、出産を経て選手に復帰した、陸上女子100メートル障害東京五輪代表、寺田明日香(ジャパンクリエイト)に相談した。

「なかなか同じ状況の方がいないので、相談できる人もいなかったのですが、以前、取材でお会いした縁で、連絡を取り、体の状態などを相談し、アドバイスなどをいただいています。骨盤周りのトレーニングも教えていただき、『地味だけど続ければ治るよ』と言われたので、マイナートラブルとも向き合いながら地道に治していかなきゃ、と思っています。

 出産後独特のトラブルはありますが、寺田さんが出産後に復帰し、日本新記録を出したということが、励みになっています。1度目の現役よりもさらに高みを目指し、達成する姿を見て、すごくパワーになりましたし、女性はもっともっとできる、女性は強いんだ、と感じましたから。やっぱり、出産を経験した選手の活躍ってすごく力になります」

 馬淵は父・崇英氏(元日本代表飛込みヘッドコーチ)の影響で、自然な流れで3歳から水泳と飛込みを始めた。小学校低学年までは、学校よりもプールに行くことが好きだったが、小学4年から本格的に飛込みの練習が始まると、「楽しい」という気持ちは徐々に削られていった。

「飛込むことが、とにかく怖かったんです。父によると、小さい頃はトランポリンさえ怖がりながらやっていたほど、元々ビビリで度胸がない性格。急に世界を目指す練習に切り替わり、1回半から2回、2回半、3回半と難易度が上がるなか、毎回、失敗する恐怖心がすごくありました」

 それでも、飛ばないと家に帰れなかったため、恐怖心を抱えたまま、毎回飛んだ。

「幼い頃から怖い経験をたくさんしてきて、途中からはもう飛込みが好きか嫌いかもわからなくなっちゃいました。辞めたいと父に言ったときもありますが、スポーツ推薦で高校に進学が決まった時点で、あぁ、もうこれは辞められないな、と諦めました」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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