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15歳から15年間無月経だったマラソン千葉真子 無知ゆえに現役時代に覚えた妊娠への不安

同じような選手を生まないために「指導者、そして保護者が共通認識を持つことが大切」と話す【写真:荒川祐史】
同じような選手を生まないために「指導者、そして保護者が共通認識を持つことが大切」と話す【写真:荒川祐史】

未来のために伝えたいメッセージ、選手の指針となるガイドラインを

 言わずもがな、千葉さんのケースは非常に幸運だ。では、第二の千葉真子を生まないためにはどうすればよいのか? 千葉さんは、選手やその家族、指導者の指針となるガイドラインを設ける大切さを訴える。

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「今は皆、情報を持っているとは思いますが、もしかしたら私のようにまったく情報に触れない人、人から入る情報に振り回されてしまう人もいるかもしれません。

 子どもたちはとても狭い世界で生きています。彼女らにとってはやっぱり目の前の大会や記録が大事。無月経や月経不順になったとしても、大事な時期に『体を休めたら?』と言われれば、誰だって不安だしイヤだと思います。

 だけど、例えばガイドラインに、『3か月間、生理がなかった場合、大事な大会が終わった後、一度、病院で検査を受けましょう』とあれば、選手も『生理がないって、それほど体にとってよくないことなんだな』と理解し、休むことへの抵抗感がなくなったり、体のことをきちんと考えられるようになったりするのではないでしょうか。

 また、女性をみている男性の指導者にとっても、ガイドラインがあることで、月経について選手と話す気恥ずかしさが払拭されたり、『セクシャルハラスメントだと思われないか』といった心配がなくなったりもすると思います。

 生理のことは選手だけでなく、指導者、そして保護者が共通認識を持つことが大切です。ガイドラインがあると、その点でも問題がクリアできます」

 千葉さんはまた、ガイドラインだけでなく、先輩アスリートたちの成功体験を伝えることも大切だと話す。

「正しい知識を持っていた、あるいは早めに治療したおかげで、生理をコントロールしながら競技人生を謳歌しています、という言葉。生理があるほうが、結果的にはよいパフォーマンスが出来るという研究結果。こういった成功例をあげることで、選手の不安もなくなりますよね。

 何より、将来、子どもを産む、産まないは関係なく、体に関する正しい知識や情報を知ったうえで、自分の人生を選択していく。そのことが、とても重要だと思っています」

■千葉 真子 / Masako Chiba

 1976年7月18日生まれ、京都府出身。96年アトランタ五輪女子1万メートルで5位入賞、97年世界選手権(アテネ)では日本女子トラック長距離種目初となる銅メダルを獲得。98年にマラソンに転向。03年世界選手権(パリ)で銅メダルを獲得した。北海道マラソン優勝3回。マラソンの自己ベストは2時間21分45秒。06年に引退後はゲストランナーとして全国のマラソン大会に出演する他、「千葉真子 BEST SMILE ランニングクラブ」を立ち上げ、市民ランナーの指導や普及活動も積極的に行っている。また今春からルートインホテルズ女子陸上部のアドバイザーに就任。競技指導だけではなく、自身の経験も踏まえた総合的なサポートを行っていく。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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