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「生理ってそんなにハードルが高い話?」 陸上・新谷仁美がありのままに語る選手の生理

「THE ANSWER」は3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性アスリートの今とこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を始動。「タブーなしで考える女性アスリートのニューノーマル」をテーマに14日まで1週間、7人のアスリートが登場し、7つの視点でスポーツ界の課題を掘り下げる。1日目のテーマは「女性アスリートと生理」。陸上女子1万メートル日本記録保持者で東京五輪代表の新谷仁美さん(積水化学)が登場する。

「女性アスリートと生理」について語った陸上・新谷仁美さん【写真:松橋晶子】
「女性アスリートと生理」について語った陸上・新谷仁美さん【写真:松橋晶子】

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」1日目 女性アスリートと生理

「THE ANSWER」は3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性アスリートの今とこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を始動。「タブーなしで考える女性アスリートのニューノーマル」をテーマに14日まで1週間、7人のアスリートが登場し、7つの視点でスポーツ界の課題を掘り下げる。1日目のテーマは「女性アスリートと生理」。陸上女子1万メートル日本記録保持者で東京五輪代表の新谷仁美さん(積水化学)が登場する。

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 現役トップアスリートでありながら、生理についてツイッターなどで積極的に発信している新谷さん。そこまで問題意識を持ち、声を上げ続ける理由は何なのか。かつて自身が無月経になって不安を味わった経験を語り、声が上がり始めたスポーツ界についても「表面的にしか改善されていない」と警鐘。「東京五輪と生理が重なっても、私は私の体で走る」と現役選手として生理との付き合い方もありのままに打ち明けた。(文=長島 恭子)

 ◇ ◇ ◇

「女性の皆さんは(生理が)ないことの違和感を持ってください。生きていく上で無くてはならないものです」

 2020年1月、新谷仁美さんは、自らの月経について綴った長文をツイッターに投稿した。

 そもそも、「生理に関して発信したい」という想いから始めたツイッター。実際始めてみると、生理のことをつぶやくたび、反響の大きさに驚く。

「生理についての体験を発信することに対し、私自身、壁がなかった。だから『勇気を出してくれてありがとう』という言葉に、『そ、そんなにハードルが高い話!?』と不思議でした。

 生理は出産と同じく、女性ならば考えて当たり前のこと。生理に触れることをタブー視するほうがおかしい」

 時々、「指導者から生理があることを責められる」「体重を落とすためにウサギのえさのようなサラダしか食べさせてもらえない」など、学生アスリートからのSOSも届く。

「それで気づいたのは、結局、生理の問題は表面的にしか改善されていないのだ、ということ。女性アスリートに生理があることを否定する考えは和らいできたと言われますが、今でも生理があることを拒んだり、受け入れなかったりする風潮はある。少なくとも私が(25歳で一度引退し)競技から離れていた4年間、全然変わってないじゃん、というのが正直な気持ちです」

 無月経は女性アスリートが抱える重大は健康問題の一つだ。アスリートに多い無月経は、エネルギー不足や体脂肪減少、オーバートレーニング、そしてストレスなどが要因とされる。正常な月経があることで「追い込めていない」「太っている」と指導者、あるいは選手本人が思い込み、追い詰める風潮は、間違いなく無月経の引き金になっている。
 
 高校時代から生理に悩む同期や後輩の姿、25歳で無月経となった自らの経験。新谷さんは自分に生理があること、選手に生理があることを否定する風潮に、常に疑問を抱いていた。

「おかしな点はまず、『生理=太る』と紐づけていること。確かに生理の時期、一時的に体がむくみ、体重が増える人はいますが、太ったのではない。それを勘違いし、なかには『太ってしまった』と思い込み、走れなくなる子もいます。

 でも、ここでの本当の問題点は体重ではなく、メンタルです。精神状態が安定していれば、むくみは解消できなくても、走れるし、生理も順調にくる。生理はちょっとしたきっかけで、不順になります。でも多くの人は、心をケアせず、生理のことだけを持ち出して問題視する」

 しかし、この風潮は、指導の現場だけで起きているのではない。新谷さんは、生理問題が根本的に改善できない理由の一つとして、根深い部分に言及する。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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