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ラグビー日本、敗れた前戦から“ほぼ同じ布陣”の思惑 中10日のサモア戦へ「完成度を進化」

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で決勝トーナメント進出に挑む日本代表。28日(日本時間29日)に、トゥールーズでキックオフを迎えるサモア代表とのプールD組第3戦は、今後を占う80分になる。勝てば決勝トーナメント進出へ1歩前進、負ければ2大会連続の決勝トーナメント進出から大きく後退する大一番に、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、イングランドとの前戦から先発で2人だけを入れ替えた布陣を用意。メンバーを固定化することで、チームの連携、完成度を高めて、7月に惜敗した相手に立ち向かう。(取材・文=吉田 宏)

イングランドに敗れたラグビー日本代表【写真:ロイター】
イングランドに敗れたラグビー日本代表【写真:ロイター】

W杯フランス2023コラム、7大会連続取材「ラグビーライターの視点」

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で決勝トーナメント進出に挑む日本代表。28日(日本時間29日)に、トゥールーズでキックオフを迎えるサモア代表とのプールD組第3戦は、今後を占う80分になる。勝てば決勝トーナメント進出へ1歩前進、負ければ2大会連続の決勝トーナメント進出から大きく後退する大一番に、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、イングランドとの前戦から先発で2人だけを入れ替えた布陣を用意。メンバーを固定化することで、チームの連携、完成度を高めて、7月に惜敗した相手に立ち向かう。(取材・文=吉田 宏)

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 個々の選手のパワーで上回る相手を、組織の力でねじ伏せる――。そんな指揮官の思惑を感じさせるメンバーで、サモアを迎え撃つ。

「負けたものの、そこからいろいろ経験することができた。勝つプランを考えているので、どんなトラブルがあっても、それを乗り越えていきたい。しっかりと準備をしてきました」

 26日のメンバー会見で、ジョセフHCが淡々と決戦への思いを語った。7月のサモアとの前哨戦は、22-24の惜敗。NO8リーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)が前半30分にレッドカードで退場となり、14人での戦いを強いられたことも響いたが、その反則も含めて個々のフィジカルパワーで上回るサモアに重圧を受けた。今週更新された世界ランキングでも日本の13位に対して12位つける相手だが、下剋上を起こすための“組織力”という武器は研ぎ澄ましてきた。

 敗れたイングランド戦のメンバーに、新たに先発へ投入したのは、CTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)とFBレメキ・ロマノラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)の2人のみ。イングランド戦の負傷でチームを離脱したFBセミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)の代役として緊急招聘した山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)の起用も見送り、従来主力だったライリーの復帰と、マシレワのポストに控えメンバーだったレメキを昇格させただけという、ほぼ変化のない布陣こそが勝利のキーポイントになる。

 2019年日本大会で、ジェイミー・ジャパンは世界を驚かす快進撃を見せた。その大きな要因になったのが、開催国という利点も生かして、他国以上の準備期間で完成度を高めた組織力だった。個々のパワーや経験値、スキル(技術)で上回る強豪国に、組織で挑み8強まで勝ち進んだ。その集団で戦う強みが、7、8月の代表戦では十分に機能せず、1勝5敗という成績に終わった。前回W杯からの4年間の準備期間と強化環境をパンデミックや、日本チーム・サンウルブズのスーパーラグビー離脱などで狭められた影響は今も影を落とす。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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