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ラグビー日本、難敵イングランドから奇跡を起こす条件 W杯“30点差快勝”に潜む準備不足の現実

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は、第1クールと位置づけられる最初の週末の8試合が終わった。日本代表は初出場のチリから6トライを奪って42-12と、スコアの上では好スタートを切った。選手、スタッフも最初の大一番となるイングランドとの次戦(17日/ニース)へ自信を深めたコメントをしているが、その一方で、ゲームスタッツ(データ)や、トニー・ブラウン・アシスタントコーチ(AC)の発言からは、まだ万全とは言えないチームの現実も浮かび上がる。2015年大会でのブライトン(VS南アフリカ/34-32)、19年大会の静岡(VSアイルランド/19-12)に続く、“ニースの奇跡”を起こせるのか。チリ戦から、注目のイングランド戦の勝利の行方を考察する。(取材・文=吉田 宏)

ラグビーW杯チリ戦の日本代表【写真:ロイター】
ラグビーW杯チリ戦の日本代表【写真:ロイター】

W杯フランス2023コラム、7大会連続取材「ラグビーライターの視点」

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は、第1クールと位置づけられる最初の週末の8試合が終わった。日本代表は初出場のチリから6トライを奪って42-12と、スコアの上では好スタートを切った。選手、スタッフも最初の大一番となるイングランドとの次戦(17日/ニース)へ自信を深めたコメントをしているが、その一方で、ゲームスタッツ(データ)や、トニー・ブラウン・アシスタントコーチ(AC)の発言からは、まだ万全とは言えないチームの現実も浮かび上がる。2015年大会でのブライトン(VS南アフリカ/34-32)、19年大会の静岡(VSアイルランド/19-12)に続く、“ニースの奇跡”を起こせるのか。チリ戦から、注目のイングランド戦の勝利の行方を考察する。(取材・文=吉田 宏)

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 苦戦の中で、最後は前回大会ベスト8の威厳を見せつけた。まだ真夏日が続くトゥールーズのスコアボードに映し出されたスコアが、チリとの実力差を物語った日本代表の“開幕戦”。試合後に抱き合い、握手を交わした選手たちの安堵した表情が、この試合の難しさを物語っていた。

「初戦というプレッシャーの中で、選手はいいパフォーマンスをしてくれた。重圧の中でも状況に応じて戦えたことで、今日の勝利は自信を得るためにも重要だった。今日1日は勝利を喜んで、また1試合1試合を挑戦と思いながら戦っていきたい」

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の柔和な表情も、この試合までの重圧の大きさを想像させるが、指揮官の予期した通り、もしくはそれ以上に厳しい試合展開は、W杯公式のゲームスタッツにも浮かび上がる。

 チームが試合中に自陣、敵陣で戦った割合を示す「テリトリー(地域支配率)」は、勝った日本が66%と優位に立ちながら、ボールをどれだけ保持したかのポゼッション(ボール保持率)はチリが56%と上回った。スコアとポゼッションを見れば、チリが攻撃権を持ちながら得点は十分にできなかったとも読み取れるデータだが、その一方で、日本が80分の半分以上を相手にボールを持たれる状況での戦いを強いられたのも現実だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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