渋野日向子「一人じゃ何もできない」 全英Vの喧騒に襲われ、気づいた“他人の力”
人知れず涙、笑顔への期待が重荷に「ずっと笑っておかないといけないのかな」
9月にも1勝。賞金女王争いを演じると、一時は予選落ちで諦めかけたが、最終戦の1週前に優勝した。史上最年少女王にはなれなかったが、最後まで女子ゴルフ界を盛り上げたのは間違いない。昨年とは一変したシーズンとなり、賞金ランク2位、ポイントによって決まる最優秀選手賞に輝いて堂々と終えた。
「最初は(50位以内の)シード権を狙って頑張ってきた年に2位は予想外。『1年間よく頑張ったね』って神様が言ってくれたのかなと思いつつ、『まだ早いよ』っていうこともあるのだと思う。この1年間は今まで経験してないことを経験させていただいた。この1年は財産だと思うので、これからのゴルフ人生に生かしていけたらなと思う」
人生の「財産」となった2019年。全英優勝後は周囲の喧騒にまみれ、自分を見失いそうになった。目標と期待にズレが生まれる。求められる「スマイル」が重荷となった。「ずっと笑っておかないといけないのかな」。人知れず涙を流した時もあった。だが、そばにはいつも家族がいた。コーチ、キャディー、マネージャー、用具担当者、そして今や誰よりも多いファンもいる。笑顔で元気や癒しを与える21歳には、同じくらい多くの支えがついてきた。
「全英で優勝してから本当に凄く忙しかったけど、たくさんの人に支えられて頑張ってこられた。一人じゃ何もできなかったということを、全英が終わって本当に凄く実感した。もう感謝の気持ちしかないですね。感謝の気持ちが今まで以上に芽生えたというか、優勝したことによってそういうことを考えさせられた。
私は『チームしぶこ』と呼んでいるんですけど、家族とか、応援団、コーチ、マネージャーさん、1年間担いでくれたキャディーさん、スポンサーさんもそう。地元の応援してくれる人たちもそう。そういう人たちがいなかったら全英以降はやってこられなかった。
本当にこの1年で何回も優勝をさせていただいて、いろんな人と出会えた。全英も優勝させていただいて、これって自分だけの力じゃない。いろんな人の支えがあったからできることだと実感させられた。そういうことを思ったことが財産だなと思います」