“第2のネリ”防ぐには海外も厳罰化を 日本人元世界王者の主張「明確な規則作らないと」
伊藤は約13kgの減量経験「やると決めたら落とす」、日本は18年夏に厳罰策定
「(減量が)難しいのもわかるんですよ。自分も何回もスーパーフェザー級(58.9キロ以下)で落としてきた。ライト級(61.2キロ以下)の方が楽ですけど、やっぱりスーパーフェザー級を選ばざるを得ないという事情もある。けど、やると決めたら落とさないといけない。
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でも、体のことなのでどうしても脱水症状になったり、何かが絶対に起きてしまう。これはしょうがないと言ってはいけないかもしれないけど、しょうがないものなんです。そこ(過酷さ)はわかるけど、それでも(計量失格を)2回、3回やるというのは、かなり気持ちの弱さ、適当さが出てしまっている」
プロデビューから日が浅い頃には、フェザー級(57.1キロ以下)で約13キロの減量を経験。それまでより階級を1つ落としたことで地獄を見た。だが、プロとして試合を受けたからには、死に物狂いで落とさなければならない。
落とす重さは人それぞれだが、ボクシングは互いに苦しみを乗り越えたからこそ、リング上で相手への敬意が生まれる。伊藤も「そうです。だから、試合ができる。だから、ネリは失格だと思います。そこの戦いに勝てないので。相手をリスペクトできるかどうかもそこ。それがない。本当に問題があるなと思います」と語気を強めた。
現状では、計量失格となった場合の世界的なルールが存在するわけではない。国内では18年夏に日本ボクシングコミッション(JBC)が新たな罰則を策定した。前日計量でリミットの3%を超えた場合は即試合中止となる。3%未満の超過なら2時間の猶予が与えられ、この間は何度でも再計量できる。2時間の猶予後も3%未満の超過だった場合、計量失格で試合中止にするか、中止にしない場合は試合当日に再計量を義務付ける。
当日計量でリミットを8%以上超過した場合、試合は中止。さらに試合中止となった場合は、ファイトマネー相当額の制裁金、1年間のライセンス停止処分、1階級以上の転級の義務付け、超過した選手のマネージャーへの戒告処分が科される。3%未満の超過で試合を中止しない場合でも、ファイトマネー相当額の20%の制裁金、6か月の資格停止処分、マネージャーへの戒告処分が科される。
山中戦1度目の計量でリミット53.5キロを2.3キロ(4.3%)超えたネリは即試合中止となる。これらの細分化された罰則は世界的にも珍しいが、あくまで国内だけ。海外で明確な規定がないことに、伊藤は「罰せられないといけないですし、1回目でもダメなものはダメ。罰金なり、試合を1年やらせないとか、何か明確なルールを作らないと、どんどん出てきてしまう」と嘆いた。