4年前の“伝説の選択”から一歩先へ 伊藤鐘史が託す夢「8強に必ず行くマインドで」
状況判断の速さこそジェイミー・ジャパンの強み
伊藤氏が例に挙げるのは、8月3日に行われたトンガ戦終了直前のWTB福岡堅樹のトライシーンだ。
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「起点はボールをもらったSO田村(優)です。パスを受けたときの瞬時の判断がすごかった。トンガの選手が痛んでいると見るや、クイック・スタートで攻撃を仕掛けたんです。おそらく、いまのジャパンもグラウンド上のエリアごとにゲームプランがあるはずです。でも、それを瞬間的に切り替えて攻めた。田村1人の判断に、全員が反応して生まれたトライですね」
状況判断の速さは、チームを率いる指導者の個性が反映される。前任のエディー・ジョーンズ氏が徹底してトップダウンで戦術を落とし込んでいたのに対して、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)はリーダーグループの選手を中心に選手が話し合い、チームスタイルを創り上げるのが流儀。伊藤氏は、日本代表が統制され約束事を確実に履行するチームから、柔軟に状況判断で戦術を変えていくチームに変貌していると指摘する。
この優れた状況判断からのトライを見て、伊藤氏の頭をよぎったのが、トンガ戦前の大阪・堺合宿を見学したときの出来事だった。
「田村と話したら、すごく大人になっていた。リーダーも任されてて、宮崎合宿は肉体的にしんどかったけれど、それ以上に(今は)考えるほうに時間を使うから大変だと話していた。あのトライシーンを見た時に、そうやって常に考えながらやっているから、ああいう状況判断ができたんだなと思いましたね」