トレランで速く走りたい、でも山道では足元が不安定… アークテリクス「SYLAN 2」が導いた“軽さと安定”の両立
アークテリクス「SYLAN 2」は、初代から20g軽量化しながらカーボンファイバー複合プレートを新採用。トレイルランニングで求められる速さと、不整地での安定性をどう両立したのか。高反発フォームやVibram Megagripなど設計の狙いを紹介します。

トレイルでは速く走りたい。でも、軽さや反発を追求して足元が不安定になれば山道では怖い。アークテリクス「SYLAN 2」は、初代から20g軽量化しながらカーボンファイバー複合プレートなどを加え、“速さと安定性”を同時に高めることを狙ったトレイルランニングシューズです。
- ・初代SYLANから20g軽量化しながら、安定性・ホールド力・通気性も向上
- ・カーボンファイバー複合プレートを新採用し、推進力と不整地での安定性を両立
- ・前足部だけのロッカー+2段階ラグで、前へ進む動きと山道でのグリップを両方狙う
トレイルランニングで速く走ろうとすれば、シューズは軽くしたい。着地した力を前へ返す反発性や、足を前方へ運びやすくする推進力も欲しくなります。
ところが、トレイルで走るのは平らな舗装路ではありません。
石や木の根があり、路面は左右に傾き、砂利や泥もある。着地する場所も角度も一歩ごとに変わります。
「速く走れるシューズが欲しい。でも、速さを求めるほど山道で足元が不安定にならない?」
トレイルランニングでは、スピードと安定性の両方が必要になります。
アークテリクスが2026年3月26日に発売した「SYLAN 2(シラン 2)」は、そんな両立を目指して初代SYLANをアップデートしたトレイルランニングシューズです。
開発の基になったのは、初代モデルを実際に使ったアスリートからのフィードバックでした。
従来モデルから20g軽くしながら、安定性、ホールド力、通気性も向上。さらに新たにカーボンファイバー複合プレートを採用しています。
単純に「もっと軽く、もっと反発する」方向へ進むのではなく、その速さを起伏のある山道でも使えるようにする。SYLAN 2の設計を追うと、そんな狙いが見えてきます。
速く走りたい。でも軽くするほど山道で不安定にならない?
ロードランニングとトレイルランニングでは、足元に求められるものが違います。
比較的平坦な舗装路では、軽さや反発性、前へ転がるような推進力を高めることが速さにつながります。
一方、トレイルでは路面そのものが一定ではありません。
起伏のある地形で足を着くたびにシューズが大きくぶれれば、いくら高い反発力があっても、その力を前へ進むために使いにくくなります。
アークテリクスはSYLAN 2で、初代モデルより軽量化しながら、同時に安定性も向上させました。
つまり、「軽くするか、安定させるか」のどちらかを選ぶのではなく、両方を成立させようとしています。
速く走るには軽さや反発性が欲しい。一方、凸凹したトレイルでは安定性も必要です。SYLAN 2は、スピードを高めながら山道で足元を落ち着かせることを大きなテーマにしています。
20g軽くしたのに、なぜ「カーボン」を追加した?
SYLAN 2は、初代モデルから20gの軽量化を実現しています。
その一方で、新しく追加されたパーツがあります。
カーボンファイバー複合プレートです。
ランニングシューズのカーボンプレートというと、前へ進む推進力を高めるものというイメージがあります。
SYLAN 2でも推進力を生み出す役割を担いますが、アークテリクスが同時に重視しているのが安定性です。
公式では、凸凹のある地形でも思い切って動けるよう、カーボンファイバープレートによって安定性を高めたと説明しています。
軽量化で得たスピードを、起伏のあるトレイルでも使いやすくする。
そのための答えの一つが、カーボンプレートでした。
推進力を生み出すだけでなく、起伏のある地形での安定性を高めるために新採用。SYLAN 2では「速さを出すためのカーボン」と「山道でぶれにくくするためのカーボン」という二つの役割を持たせています。

前へ転がしたい。でも、かかとまで不安定にはしたくない
速く走るための工夫は、カーボンプレートだけではありません。
SYLAN 2のミッドソールには、着地から蹴り出しまでの動きを助けるロッカー形状を採用しています。
ただし、今回のモデルではロッカー形状を前足部だけに限定しました。
さらにヒール部分の形状も見直し、足がより深く収まるようにしています。
前足部では、シューズが前へ転がる動きを利用して推進力を生み出す。
一方、かかと側では足の収まりを深くし、より安定した履き心地を狙う。
シューズ全体を単純に「転がりやすくする」のではなく、前と後ろで役割を分けた設計です。
SYLAN 2ではロッカー形状を前足部に限定し、ヒール形状も変更。速く前へ進むための動きと、着地時の安定感を一足の中で両立させようとしています。
速さを出せても後半に脚が残らない…高反発フォームは何を狙った?
トレイルレースでは、短い距離だけ速く走れればいいわけではありません。
起伏のあるコースを長時間走り続けるほど、脚への負担は積み重なります。
SYLAN 2のミッドソールには、高反発の特殊フォームを採用しています。
アークテリクスは、ロッカー形状と組み合わせることで推進力とエネルギーリターンを高め、疲労の軽減と長時間のハイペース維持をサポートすると説明しています。
さらに、特殊フォーム、TPEEアウターレイヤーフォーム、カーボンファイバー複合プレートを組み合わせています。
つまり、反発だけを強くするのではありません。
クッション性、反発性、推進力、安定性を一つのミッドソール周辺にまとめることで、山の地形を速く走り続けるためのバランスを取っています。
着地したエネルギーを前へ返しながら、足を蹴り出しへ導く構造。カーボンファイバー複合プレートも組み合わせ、スピードだけではなく不整地での安定性まで含めて設計しています。

軽量化したらアッパーが頼りなくならない? 薄さと強度を両立
20g軽くするためには、シューズのさまざまな部分で重量を削る必要があります。
しかし山道を走るシューズでは、軽くするためにアッパーが頼りなくなっても困ります。
SYLAN 2では、ナイロン、TPU、TPEを組み合わせた超軽量混紡素材の特殊形状ジャガードニットをアッパーに採用しています。
アークテリクスは、この素材で軽量化と強度向上を両立したと説明しています。
さらにTPUフィルムを加え、耐久性と保護性能も強化。
タンもアップデートし、足をしっかり支えながら通気性も高めています。
軽量化するために単純に素材を薄くするのではなく、山道で必要な強度やホールド力を残しながら重量を削るという考え方です。
SYLAN 2は軽量化と同時に、アッパーの強度、保護性能、足のホールド力、通気性も改善。山道を走るシューズとして必要な機能を残しながら重量を減らしています。
速くても泥や砂利で滑ったら意味がない…靴底はどうした?
軽量化や反発性によって前へ進む力を高めても、アウトソールが地面を捉えられなければ、その力を生かせません。
SYLAN 2のアウトソールには、Vibram Megagripを採用しています。
さらに、軽量化を図るLitebaseテクノロジーを組み合わせました。
特徴的なのが、アウトソールに並ぶラグの高さです。
すべて同じではなく、4.5mmと3.5mmの2段階に設定しています。
アークテリクスは、この新しいラグデザインによって、さまざまなコンディションでトラクションを発揮しながら、余分な泥を排出することを狙っています。
公式商品ページでも、砂利道や泥道で地面をグリップする設計として紹介されています。
4.5mmと3.5mmの異なる高さのラグを配置。地面を捉えるトラクションを確保しながら泥も排出し、砂利や泥のあるトレイルでもスピードを生かせるようにしています。

「軽さ」と「安定性」をどう両立した? SYLAN 2の答えを整理
| トレランで気になること | SYLAN 2の設計 |
|---|---|
| 速く走るため足元を軽くしたい | 初代SYLANから20g軽量化 |
| 軽く、反発を高めると不整地で不安定になりそう | カーボンファイバー複合プレートで推進力と安定性を両立 |
| 前へ進みたいが、着地は安定させたい | ロッカーを前足部に限定し、ヒール形状をアップデート |
| 長時間速く走ると脚が疲れる | 高反発特殊フォームでエネルギーリターンを高める設計 |
| 軽量化するとアッパーの強度が心配 | 超軽量混紡素材+TPUフィルムで強度と保護性能にも配慮 |
| 泥や砂利で滑りたくない | Vibram Megagrip+4.5mm/3.5mmの2段階ラグ |

メンズ268g、ウィメンズ231g SYLAN 2の主な製品情報
| 項目 | メンズ | ウィメンズ |
|---|---|---|
| 価格 | 37,400円(税込) | 37,400円(税込) |
| 重量 | 268g(27.0cm) | 231g(24.0cm) |
| 発売時サイズ | 25.0~28.0cm | 22.5~24.5cm |
| スタックハイト | 31.5/25.5mm | |
| ドロップ | 6mm | |
| プレート | カーボンファイバー複合プレート | |
| アウトソール | Vibram Megagrip/Litebase | |
| ラグ | 4.5mm/3.5mm | |
| 主な特徴 | 高反発特殊フォーム/前足部ロッカー形状/超軽量アッパー/高トラクションアウトソール | |
トレランシューズは「軽ければ速い」だけでは終わらない
SYLAN 2のアップデートを見ると、アークテリクスが単純な軽量化だけを目指したわけではないことが分かります。
初代から20g削る。
高反発フォームとロッカー形状で、前へ進む力を高める。
しかし、それだけでは起伏のある山道で足元が不安定になる可能性があります。
そこでカーボンファイバー複合プレートを加え、ヒール形状を見直し、足のホールド力も高める。
そして地面との接点には、Vibram Megagripと高さの異なるラグを配置しています。
「速く走りたい。でも、その速さを山道で安心して使えなければ意味がない」
SYLAN 2が出した答えは、軽さか安定性かのどちらかを選ぶことではありませんでした。
軽量化、反発、推進力、安定性、グリップを一つのシューズの中で両立させる。
速さを求めるトレイルランナーにとって、SYLAN 2は「軽いシューズ」ではなく、山道でその軽さとスピードを生かすための設計まで考えた一足です。
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「シラン 2 メンズ」アークテリクス公式商品ページ
アークテリクス「SYLAN 2」公式特設ページ
アメアスポーツジャパン株式会社「更なる軽量と推進力を追求したトレイルランニングシューズ『SYLAN 2』新たな提案」(2026年3月26日発表)
アークテリクス「シラン 2 メンズ」公式商品ページ
アークテリクス「SYLAN 2」公式特設ページ
【写真提供:アメアスポーツジャパン株式会社】
(THE ANSWER編集部)
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