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1300万食のCO2排出量&使い捨てプラスチック半減 パリ五輪が掲げる6つの「フード・ビジョン」とは

着目すべきは210名のトップアスリートにアンケートを実施した点

 着目すべきは、今回のフード・ビジョンを策定するにあたり、生産者、シェフ、パン職人、レストランの経営者、仕出し業者、栄養士ら食に携わる人々に加え、210名のトップアスリートにアンケートを実施した点。フード・ビジョンにアスリートの生の声を反映させたいという思いが伝わってきます。
 
 アンケートに答えたアスリートの内訳ですが、20%がフランス人、80%は異なる50か国のアスリートです。普段の食事については、75%は動物性食品と植物性食品を普通に食べ、20%はフレキシタリアン、5%はベジタリアンやビーガンとなっています。彼らの回答について、いくつか紹介しましょう。

 まず、「持続可能なフードシステムを推進するにはどうしたらいいか?」に対して最も多かった5つの回答は「地元の旬のものを食べる」「果物、野菜、豆類を多く食べる」「オーガニックや持続可能な製品を食べる」「食品廃棄を減らす」。最後が「包装、特にプラスチックを減らす」という内容でした。

 また、「大会でのケータリングサービスによる環境負荷への影響をどのように減らすことが出来ますか?」という質問に対しては、「プラスチック容器や包装を減らす」「低炭素化を実現するために魅力的なベジタリアンフードを提供する」、「一食当たりのサービング量を減らし、お替りが出来るようにすることで食品破棄を減らす」という意見が多く集まりました。

 さらに、対象者の98%が、アスリートの食習慣が社会や環境に与える影響を懸念している、または深く懸念していると回答。

 6割の選手は持続可能なフードシステムについて理解を深めるためのサポートを希望。大会終了後も例えば持続可能な食糧システムのアンバサダーを務めるなど、先頭に立って積極的に活動してもよいと回答しています。
 
 アクションを起こそうという気持ちがあるのは自分らの影響力、そして食生活に課題があるという自覚しているからでしょう。特に、この回答結果は素晴らしいと思いましたが、全体的にみても、回答したアスリートたちの食に対する意識の高さに感心する内容でした。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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