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UEFAの最新科学に学ぶサッカーの水分補給 バルセロナの「さすが」な研究データとは

バルセロナを対象に行われた研究データから学べること

 さて、今年、スペインのFCバルセロナの選手を対象に実施された、水分摂取と発汗量についての研究データが発表されました。

 サッカーは大量に発汗するスポーツのため、試合中、選手の体内の水分量が少なくなることが以前から報告されています。一方、エリート選手の発汗量、給水量、糖質摂取量を異なる気温や運動強度によって比較した研究はほとんどなかったため、今回の研究が行われました。

 対象者は60~120分のトレーニングまたは試合を、週に3~6回行う14名のトップ選手。4つの条件下(1.低温・低強度条件 2.低温・高強度条件 3.高温・低強度条件 4.高温・高強度条件)で、6%の糖質濃度の電解質飲料を、タイミング、量ともに自由に摂取した際の脱水状態を調べました。

 その結果、全ての選手が体重減少を運動前の2%以内に抑えられていました。これは、さすが世界のトップチーム、という結果です。2%以内という優秀な数値から、選手たちの水分補給に対する意識の高さが伺えます。

 この結果が意味するのは、今回の条件下では選手たちが意識的に水分補給を行うことで、脱水を予防できる、ということです。また、脱水率は運動強度と環境温度に比例して高くなり、特に運動負荷の大小の方が脱水リスクに関係することも明らかになりました。

 一方で、質の高い練習時に摂取する糖質量は、UEFAの推奨量にははるかに及ばない、という結果も出ました。

 日本では少し前まで、スポーツ飲料でさえ「甘すぎるから」と薄めて飲んでいましたが、バテてくる後半こそ糖質の摂取がカギとなります。しかし、糖質量を多く含む甘いものは、体が受け付けない、のどを通りにくいなど、特に暑い季節は摂りにくいものが多いのが現状です。

 パフォーマンス向上のために水分だけでなく必要な糖質量をどのように取り入れていくのか? 世界のトップチームの選手でも達成できないことから、ウォーミングアップやハーフタイムの糖質摂取については、今後の大きな課題といえるでしょう。

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(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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