冬場の健康維持にも効果 牛乳が「天然の栄養ドリンク」と言えるこれだけの理由
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「牛乳」について。
公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏の連載、今回は「牛乳」
Jリーグやラグビートップリーグをみてきた公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏が「THE ANSWER」でお届けする連載。通常は食や栄養に対して敏感な読者向けに、世界のスポーツ界の食や栄養のトレンドなど、第一線で活躍する橋本氏ならではの情報を発信する。今回は「牛乳」について。
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アスリートに欠かせない食品の一つ、牛乳。今回はスポーツをする人の体作りの観点から、牛乳の摂り方や摂るタイミングについてお話しします。
これまでサポートしてきたチームや選手たちの話を聞くと、練習後、あるいは筋トレ後にプロテインを摂る際、プロテインパウダーを低脂肪牛乳や牛乳ではなく、豆乳で割る選手は一定数います。
もちろん、好んで選ぶ選手もいますが、実は「体によさそうだから」「脂肪分が少なそうだから」と、何となく選んでいる選手たちも意外と多い。そこで、まずは牛乳と豆乳の違いを成分からみていきましょう。
食品成分表によると、普通牛乳と豆乳を100g当たりで比べると、牛乳のほうがエネルギー量が多く、炭水化物、脂質、ビタミンB群も多く含まれます。特筆すべきはカルシウムの量で、豆乳のなんと約7倍。また、たんぱく質は、牛乳の方がわずかに(0.3g)少ないのですが、たんぱく質の合成を促し、分解を抑制することで効率よく筋肉量を増やす、必須アミノ酸が多い点も特徴です。
アスリートの場合は低脂肪牛乳を積極的に摂ることが多いのですが、豆乳と比較するとエネルギーは同量、たんぱく質と炭水化物は低脂肪牛乳の方が多く、脂質が少ないのが特徴。そしてやはりカルシウムも多く、豆乳の約8倍含まれます。
以上のことから、筋肉作りや骨を丈夫にするという意味では、牛乳、低脂肪牛乳のほうが適しているといえます。
一方、豆乳は普通牛乳よりも若干、たんぱく質量が多く、骨を丈夫にするイソフラボン、コレステロールを低下させる大豆サポニンなどが含まれます。また、オリゴ糖が摂れる点も特徴。オリゴ糖は腸内環境をよくするために必要な、乳酸菌の餌になる成分です。健康増進や日々のコンディションを整えるのに有効な成分が、豆乳には豊富です。
選手たちが気にする脂質についてですが、最も少ないのは低脂肪牛乳(100mlにつき牛乳3.8g、豆乳2.0g、低脂肪牛乳1.0g)。総括すると、低脂肪牛乳が最も効率よく、スポーツをする人の体作りに必要な栄養が摂れるといえます。
ただし、成長期の選手まではよほど体重が重かったり、牛乳を水代わりに飲んだりしない限り、普通牛乳でOKです。また、乳糖を分解・吸収できない人はお腹を下してしまうため、乳糖不耐症向けの牛乳を摂りましょう。
牛乳は筋肉作りに、豆乳は健康増進によい成分が充実しています。「同じミルク」と考えず、目的に合わせて使い分けるとよいでしょう。