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きっかけは5年前の“苦い記憶” 女子ラグビー元日本代表がフランス挑戦を決意した理由

来年のラグビーワールドカップ(W杯)開催国で、初優勝を目標に強化を進めているフランス代表。7月には日本代表を連破(42-23、20-15)して鮮烈な印象を残し、世界ランキングは2位(8月15日現在)につける。女子も同3位と男女揃って世界屈指の実力を持っており、イングランドら英連邦諸国とは異なるもう1つの“ラグビー強国”としてその名を轟かせているが、そこに単身乗り込んで、楕円球を追う日本人女子選手がいる。元7人制&15人制女子日本代表の冨田真紀子だ。昨年フランスに渡り、南西部のポーで女子クラブに入団。初体験のシーズンを終え、男子フランス代表のリエゾンスタッフをするために一時帰国を早めた冨田に、新天地での挑戦を決めた思い、現地での生活、英連邦諸国を凌ぐほどの力をつけるフランスラグビーの魅力と強さの真髄を聞いた。(取材・文=吉田 宏)

フランスの地方都市ポーで1シーズンを戦った、元7人制&15人制女子日本代表の冨田真紀子【写真:本人提供】
フランスの地方都市ポーで1シーズンを戦った、元7人制&15人制女子日本代表の冨田真紀子【写真:本人提供】

ラグビー元女子日本代表・冨田真紀子インタビュー前編

 来年のラグビーワールドカップ(W杯)開催国で、初優勝を目標に強化を進めているフランス代表。7月には日本代表を連破(42-23、20-15)して鮮烈な印象を残し、世界ランキングは2位(8月15日現在)につける。女子も同3位と男女揃って世界屈指の実力を持っており、イングランドら英連邦諸国とは異なるもう1つの“ラグビー強国”としてその名を轟かせているが、そこに単身乗り込んで、楕円球を追う日本人女子選手がいる。元7人制&15人制女子日本代表の冨田真紀子だ。昨年フランスに渡り、南西部のポーで女子クラブに入団。初体験のシーズンを終え、男子フランス代表のリエゾンスタッフをするために一時帰国を早めた冨田に、新天地での挑戦を決めた思い、現地での生活、英連邦諸国を凌ぐほどの力をつけるフランスラグビーの魅力と強さの真髄を聞いた。(取材・文=吉田 宏)

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 日本遠征中のフランス代表の練習グラウンドで、日本人女子選手が1人で個人練習に打ち込んでいた。

「チーム練習の合間で、体の空いた時にリハビリ、個人練習をしています」

 日焼けした笑顔で、冨田が汗を拭った。昨年、フランス女子1部リーグのクラブ「ポー」に入団して、日本の女子選手で初めて1シーズンを戦った。3月末のリーグ戦で肩を脱臼して現地で手術も受けたためシーズン終盤は棒に振ったが、その“功名”で男子フランス代表から日本遠征中のサポート役(リエゾン)として声がかかり、チームとともに帰国を遂げた。

 冨田はフランス移籍以前から、常に世界に挑み続けてきた。

 ラグビーを始めたのは中学3年生。日本の女子チームの草分け、世田谷レディースでプレーを続け、跡見学園高1年の時にはオーストラリアへの留学も経験。早稲田大学時代の18歳でテストデビューを果たし、7人制代表にも選ばれた。

 身長170センチという日本の女子選手では大型のサイズを武器に、15人制ではパワフルなBK(バックス)、7人制では機動力のあるFW(フォワード)として存在感を見せ、7人制では2009、13年W杯、16年にリオデジャネイロ五輪、15人制でも17年W杯と大舞台も経験してきた。体を張ったプレーが持ち味ということも祟り、20年2月には左膝前十字靭帯を負傷。五輪再挑戦から大きく後退して現役続行も危ぶまれたが、不屈の魂で復活し、昨年からフランスでのプレーに挑戦する。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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