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ボクシング未経験の会長が11年目で掴んだ夢 亡き“弟分”とともに…ついに輩出した初の世界王者

IBF世界ライトフライ級新王者となったシムシー(中央)と本石昌也会長(右から2番目)【写真:中戸川知世】
IBF世界ライトフライ級新王者となったシムシー(中央)と本石昌也会長(右から2番目)【写真:中戸川知世】

16年前に帰らぬ人となった会長の“弟分”

 悲願の瞬間、本石会長の心には1人の顔が浮かんでいた。元東洋太平洋フライ級王者の故・小松則幸さん。ボクシング未経験の会長が「この世界に導いてくれた」と感謝する人物だ。「僕にとっては弟のような存在。彼が世界王者になるために僕は人生を捧げていこうと思っていた」。だが、マネージャーとして一緒に世界を目指していた2009年4月、“弟”は事故により29歳で帰らぬ人となった。

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 悲しみに暮れながらも「小松則幸の代わりにこの世界で生きていく」と決意。15年前には、シムシーのセコンドも務めたプーム・コソンセットトレーナーと約束を交わした。「いつか一緒に世界チャンピオン作りましょう」。2014年4月、同ジムの4代目会長に就任。その11年後、コソンセットトレーナーとともについに初の世界王者を輩出し、心の中でつぶやいた。「小松、やったぞ」と。

「小松則幸を背負って、小松則幸と一緒に世界チャンピオンを作る。これが僕のボクシングにかける一番のテーマであり夢だった」。16年越しに果たした弟分との約束。「僕なんか素人で可能性はゼロだけど、諦めずに夢を叶えられて、今日は最良の一日になりました」。人生を捧げる相手は変わったが、目指す先は一緒だった。

 リング上では涙するシムシーを、興奮したコソンセットトレーナーが肩車して祝福していた。「タノンサックとプームが喜んでいる姿を見て、もう自分の中では言葉にできない嬉しさが一番にあった。どう喜んでいいんやろうっていうぐらいの気持ちで、本当に嬉しかった」。ともに悲劇や苦難を乗り越えてきた家族のような存在。手にしたベルトはずっしりと重く、天に届くほどに輝いていた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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