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ドローに終わった全勝対決、今後のヘビー級戦線はどうなる? 現地記者が徹底解説

注目はヘビー級3強の今後の展開

 今後のポイントは、まずワイルダーとフューリーの再戦がいつになるか。そして、この2人が新たなライバル関係を構築するのを横目に、ジョシュアがどんな路線をいくか。

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「ワイルダーはヘビー級史上でも最も脅威的なパンチャーだから、ジョシュアが戦いたくなかったことを秘密ですらない。AJ(ジョシュアの愛称)はあの右をもらたいくないんだ。彼は私のようには動けないから、もらってしまうはずだ」

 常にぶしつけなフューリーのそんな言葉通り、ジョシュアとその陣営はどうもワイルダーとの早期の対戦を熱望していない節がある。英国のゴールデンボーイはどんな相手と戦っても約8万人の観衆を動員するほどの大人気。だとすれば、ハイリスクな一戦に必ずしも積極的でもなかったのも理解できるところではある。

 そんな背景を振り返れば、ワイルダー、フューリーの即座の再戦の機運が盛り上がっていることはジョシュアとエディ・ハーン・プロモーターにとっては渡りに船かもしれない。その場合には、来年4月13日にウェンブリースタジアムで予定する次戦で、ジョシュアはディリアン・ホワイト(イギリス)、WBA正規王者ジャレル・ミラー(アメリカ)といった他の強豪に矛先を向けるのだろうか。

 ただ……ワイルダーがフューリー戦で改めて欠点も垣間見せたことで、ここでついにジョシュアが4団体統一戦に動くことも考えられない話ではない。同世代に生を受けた米国の強打者はいつかは戦わなければいけない相手。だとすれば、来年半ばくらいまでに引き金を引いても驚くべきではないのかもしれない。

 とにかく今後はとにかく様々な方向性が考えられるだけに、ヘビー級3強の行方からは目が離せない。今回のドローで流れが見えにくくなった感は否めないが、それでも遠からずうちに戦線は動くはずだ。

 願わくば、ファンの予想を上回る好試合になったワイルダー対フューリー戦がビッグファイトシリーズの引き金になって欲しい。ヘビー級の盛り上がりはやはりボクシング界にとってはポジティブな材料に違いないし、国際的な役者が揃った今こそが久々の隆盛の絶好機であるようにも思えるからだ。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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