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大怪我で消えた盗塁王…西武・若林楽人がその後3年間で諦めたこと 「向き合うの、うまくないんです」

大怪我を経て、野球への考え方も変わった若林【撮影:羽鳥慶太】
大怪我を経て、野球への考え方も変わった若林【撮影:羽鳥慶太】

「前みたいには走れない」前に進ませるのは“多少のあきらめ”

「再発の可能性も高いと説明を受けたんですが、最初は『来年になれば走れるのかな』と思っていたくらいで……。軽く考えていたんです。前みたいに走るためにはどうすればいいかと考えていました」

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 大活躍の残像は、ファンだけでなく若林の心にもあったことになる。「でも、その状態には戻れなかったのがこの2年間です。武器を取られたという感じで、気持ち的には本当にキツかったですね」。プロ1年目のキャンプで「足で稼げるようになろう」とコーチに声をかけられ、考えたこともなかった自分の武器に気づかされた。そして怪我を経た今、武器を生かすための方法も、かつてのまっすぐ一本槍ではない。

「前みたいには走れない。多少のあきらめも大事だと思うんですよ。前の自分じゃなく、今の自分をちゃんと見られるようにするというか……」

 1年目の盗塁王独走は、怖いもの知らずだからこそできた。目の前のチャンスを生かそうと必死だった。プロ野球のシーズンがどれほど長く、過酷なものかわかっていなかったという。

「本当に、120%を出して突っ走った感じでした。怪我して当然だったのかなとも思います。1軍がどんなスケジュールで戦っているのかも全然分かってなかった。ほんとに疲れていても(試合に)行っていたし、行けたんです。体も全然動いたし」。大怪我を経た体は、ただがむしゃらなプレーには耐えられない。武器は一番必要な時に、確実に出せばいい。

「今は多少なりとも考えが変わりました。最近の盗塁王の数字を見ていると、30個くらいで取れるんです。年間出られれば、月5個でいいんですよ」。それをどれだけ、チームのためになるところで決めるかだ。

 この道で生きていくための武器と見定めた足を、突然奪われた。日々、野球への考え方も変わったのではないかと聞くと、即答だった。

「変わりました。バッティングで力を入れようとしても、何かかばっているんですね。ちゃんと神経を使って、足の感覚を生かせている気がしない。今までできたことができなくなって、毎日考えなきゃいけないつらさはありますね」。考え抜いた先に“今の自分”がいる。変わるところと変わらないところを見定め、再びグラウンドで躍動してみせる。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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