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200m平泳ぎはなぜ日本の「お家芸」なのか 4泳法で金メダル最多、日本人が進化させた種目の歴史

技術的に最も難しい泳ぎ、日本人が進化させてきた種目

 五輪金メダルとともにスイマーの目標でもある世界新記録も、金メダリストの鶴田、古川、北島と山口観弘、渡辺が樹立。現在も、世界歴代ベスト10のうち3人(佐藤翔馬、渡辺、山口)が日本選手だ。

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 男子だけではない。女子も五輪金メダル7個のうち3個が200メートル平泳ぎ。36年ベルリン大会では前畑秀子が全競技を通じて日本女子初の金メダルを獲得。92年バルセロナ大会では14歳の岩崎恭子が競泳史上最年少優勝を果たし、2016年リオデジャネイロ大会では金藤理絵が27歳で頂点に立った。

 4泳法の中で最も遅いのが平泳ぎだ。もともと手足を対照的に動かすという非効率的な泳ぎ。脚を引き戻す時に大きな水の抵抗を受けるなどで、技術的にも最も難しいといわれる。体格やパワーだけでは勝てず、テクニックが必要になるからこそ、日本人の得意種目になった。

 古川らは潜水泳法(後に禁止)で世界を驚かせたし、田口は「田口キック」と呼ばれた独自の蹴りを武器に活躍した。工夫と努力で日本人が進化させてきた種目だからこそ「お家芸」になりえる。

 一時の勢いに陰りが見えてきた日本水泳界だが、タイムから見ても200メートル平泳ぎは世界でもトップレベル。銀メダルに輝いた12年ロンドン大会以来、12年ぶりの200メートル代表に決まった女子の鈴木聡美とともに、パリで「お家芸」復活を果たすのが楽しみになる。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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