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新生エディージャパンが目指す「30秒」の戦いとは サッカー名門アヤックスもヒントに“超速”へ進化

メディアブリーフィングで報道陣に語る日本代表エディー・ジョーンズ新HC【写真:吉田宏】
メディアブリーフィングで報道陣に語る日本代表エディー・ジョーンズ新HC【写真:吉田宏】

サッカーの名門アヤックスにあるディシジョンメイキングルームとは

 このような視点からラグビーの試合を考えると、選手のセレクションや評価、どのような能力を伸ばすのかという根本的なエリアでも変化が起こる可能性もある。エディーが唱えるように、ラグビーがゲームを寸断する傾向を強めているのは間違いない。それは、南アフリカがW杯連覇を果たしたことでも証明されている。

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 このチームは、フィジカルの高さを武器にセットプレーと強固な防御による重厚なラグビースタイルが伝統だ。決勝戦で惜敗したニュージーランドが、ボールを積極的に動かしスピードを武器にするのに対して、ゲームをスローダウンさせ“細切れ”にして自分たちの強みを出していくのが南アフリカだ。このような世界のせめぎ合いの中で、エディーは日本代表が世界に対して優位に立てる“間隙”を「30秒」の勝負に見出そうとしている。

 この限られた時間の中で、どう自分たちが素早さでアドバンテージを握れるのか。スピード重視のラグビーは、前回日本代表を指揮した2015年までのチームも十分に突き詰めてきた。そこに、エディー自身が語った判断の速さ、組織として機能的に動く速さという、ランニングなどの基本動作以外の領域でのスピードアップを図る。

 一例として挙げたのは、「ディシジョンメイキング(判断力)」。エディー自身は、オランダの名門サッカーチーム、アヤックスの施設を引き合いに出している。

「アヤックスにはディシジョンメイキングルームというものがある。選手が、そこでどういうパスをすればいいのかという判断力の練習が出来るような部屋です。そのようなシステムを我々も使えるかを考えていきたい」

 エディーが世界で成功しているチームや指導者、世界最先端のテクノロジーや科学の中から、勝つための術やヒントを旺盛に吸収するタイプのコーチだということは、昨年12月の就任会見後のコラムでも紹介したが、今回も貪欲さは変わらない。

 アヤックスの施設の詳細については勉強不足だが、おそらくパスを受けてから、どう判断して動作(パス、ドリブル)を選び行動に移すかを、様々な状況の中で鍛えられる、いわばシミュレーションシステムのような環境を作り上げているのだろう。このようなディシジョンメイクの強化では、戦術や競技自体のスキルだけではなく、動体視力なども含めた運動生理学、生体力学(バイオメカニクス)の領域に及ぶ強化、進化も取り入れていくはずだ。

 エディー自身も、2015年W杯までの代表強化では、オランダのバイオメカニクス研究者フラン・ボッシュを合宿に招くなどしているが、今回の第2次エディージャパンでも、競技やスポーツ自体の枠組みを超えた情報や知識、テクノロジーを積極的に取り入れていくのは間違いない。

 個人のプレーに対して、組織としてのスピードについては戦術が重要になる。

「戦術を明確にしていくことで(試合中に)自分たちが何をするべきかを考える時間を減らすことが出来れば、早く判断(行動)が出来る。そのためには選手のセレクションも一貫性が必要だし、チームの仲間同士の相互理解も重要になる」

 ゲームプランをチームに徹底的に落とし込むことで、選手はプレーを見て、判断して動くのではなく、プレー前から準備された各々に科せられた動きを迅速に遂行する――。このような完成度の高いラグビーは、2019年W杯でも日本代表は披露しているが、エディージャパンではさらに速さにこだわった組織的としての完成度を高めていくのだろう。そのようなチャレンジは全て、いかに相手を凌駕するスピードで戦えるかに集約されることになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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