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日本にスターが大挙する理由は「カネ?」 年俸9桁(億)も不思議じゃないラグビー界のマネー事情

海外トップ選手の入団ラッシュの中で迎えた3シーズン目のラグビー・リーグワン。前編では昨秋のワールドカップ(W杯)で活躍した選手の最高峰のパフォーマンスを紹介するのと同時に、多くのレジェンドが何故日本を目指すのかを、選手たちの言葉から考察した。後編では、急騰するマネーゲームや、日本でプレーすることならではのメリット、そしてこれから起こりえる課題を考える。(取材・文=吉田 宏)

リーグワンでプレーするチェスリン・コルビ(左)とサム・ケイン【写真:Getty Images】
リーグワンでプレーするチェスリン・コルビ(左)とサム・ケイン【写真:Getty Images】

多くのチームは年俸非公開も最上位クラスが2億円超と言われるリーグワン

 海外トップ選手の入団ラッシュの中で迎えた3シーズン目のラグビー・リーグワン。前編では昨秋のワールドカップ(W杯)で活躍した選手の最高峰のパフォーマンスを紹介するのと同時に、多くのレジェンドが何故日本を目指すのかを、選手たちの言葉から考察した。後編では、急騰するマネーゲームや、日本でプレーすることならではのメリット、そしてこれから起こりえる課題を考える。(取材・文=吉田 宏)

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 世界のスター選手はなぜ日本に殺到するのか。15歳から日本でプレーし、すでに誰もが「日本を代表する選手」と見なすリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)は、昨年11月のイベントで、スター選手の来日理由について、こんなコメントで周囲を笑わせた。

「カネ、じゃないですか?」

 半分はウケ狙いだが、リーチの率直さも感じさせるコメントでもあった。

 多くのチーム、選手は年俸については非公開としているが、レジェンドクラスの選手なら日本でも9ケタ、つまり億単位のプライスタグも不思議ではない時代が訪れている。最上位クラスの選手は2億を超えたと言われる。フランスのTOP14、そしてイングランド・プレミアシップが世界でもトップクラスの報酬と言われているが、その一方でプロ化で先陣を切ったプレミアシップでは、W杯直前のシーズンで2チームが債務超過に陥り、他にも財政危機のクラブがあると聞く。

 南半球最高峰と謳われるスーパーラグビーも、地域に世界規模の企業が少ないことも含めて“分け合うパイ”は決して大きくはない。そのため、最近では財政面で日本も含めたさらなる国際化を模索する動きが顕著でもある。最近盛んに開催されるリーグワンチームとスーパーラグビー勢のプレシーズンマッチも、日本チームの要望と同時にスーパーラグビーチーム側の思惑が背景にある。

 このような状況の中で、日本のリーグワンの価値が高まっている。将来的なプロ化を掲げて2022年に誕生したリーグワンだが、3シーズン目を迎える中でプロ化、事業化はまだ模索状態といっていい段階だ。母体企業への依存度は従来の企業スポーツと変わらない。本来は母体企業に依存しすぎない運営を理想に掲げるが、企業側もチームが独り立ちするには数シーズン、10数シーズンという時間がかかることを理解し、人件費も含めた運営の支援については覚悟を固めているのも事実だ。

 良し悪しは別にして、海外トップ選手を獲得するためのマネーゲームに多くの親会社が参戦していることが年俸の急騰にも繋がっている。チーム運営費は年間で10億円を超える規模だ。サニックスなど一部の企業は経営面での判断を理由にチームの活動休止という選択をしているが、生産性の低い(ない)事業を縮小するのは、企業としては当たり前の判断でもある。その一方で、現在チームを保有する企業の多くは直接的な収益性以外の広告効果、社内でのラグビーチームの存在意義などにも価値を見出している。

 では、レジェンド選手たちは、リーチの発言のようにサラリーが理由で日本を目指しているのか。東芝で5シーズン目の指揮を執るトッド・ブラックアダー・ヘッドコーチ(HC)は、少し異なる視点を持っている。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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