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無名の元高校教師から日本代表監督に、そして復帰 賛否渦巻く第2次エディー・ジャパンの可能性を問う

エディーが目指すのは高速を上回る「超速」のラグビー

 不透明さは否めない就任だったが、今回のコラムで考えたいのは、果たしてこの63歳の指揮官に、日本代表を再び世界のトップ8に食い込める強化が出来るのかだ。会見でエディーは、これから目指す新生日本代表の目指すラグビーにも言及している。

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「強いチームというのはそれなりに特色を持っている。なので、日本代表をきちんとしたアイデンティティを持ったチームにしていきたい。そして、どこに明らかな強みがあるかをしっかり持ったチームを作りたい。より速いラグビー、つまり超速(ちょうそく)のラグビーです。速くレスポンスするラグビーを考えています」

 高速を上回る「超速」のラグビー。誰にでも分かりやすい、キャッチーな言葉を考えたのがエディーらしいが、この指揮官が求める攻撃的なラグビースタイルは一貫している。サントリー監督時代には「アグレッシブ・アタッキングラグビー」をスローガンに2010年シーズンに日本選手権、11年シーズンは同選手権、トップリーグ制覇の2冠を達成した。オーストラリアの特徴でもある、短いパスを駆使してフラットな攻撃ラインでボールを繋ぐランニングラグビーをベースとして、エディー自身が指導する中で見出した、日本選手特有の俊敏さ、持久力、忠実さ、忍耐強さなどフィジカル、メンタル両面の強みをミックスさせたスタイルを追求してきた。そして、今回の就任では、さらにスピードにこだわったラグビーに挑戦していくという。

「超速ラグビーは、相手よりも速く走るだけではなく、速く考えて、速く集散ができることです。チームスポーツの中で15人というのは多いが、それぞれが素早く考え、リアクションして、結束して決断して動くことが非常に大事です。一人ひとりのアクションだけではなくて、考え方、頭の回転、そういうところも速くしていかないといけない」

 15年までの第1次エディー・ジャパンでは、早朝からの猛練習で日本選手のフィジカル強化をした上で、日本伝統のスピードを生かしたラグビーを作り上げたが、今回は動作だけではなく判断や組織プレーのスピードアップをして、さらに速さにこだわるスタイルを追求するという。判断や組織としての速さ、つまり頭の回転スピードまでを追求するという説明は、過去の取材でも語った指導者がいる。2009年に母校早稲田大監督に就任した中竹竜二氏が、目指すラグビースタイルとして語っていたのだ。それは、中竹監督のこだわりであるのと同時に、この伝統校が1世紀にも及ぶ歴史の中で模索し、作り上げてきたスタイルに通じている。全てが同じでも、エディーが早稲田ラグビーの信奉者でもないが、フィジカルやパワーで劣るチームが大男たちに勝つには、同じようなラグビースタイルに行き着くことを示している。

 この新たなスタイルがどう機能していくかは、これからの注目点だが、ここまでの指導者としてのエディーの取り組みはどんなものだったのだろうか。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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