詩も「私にはできない」と感服する兄・一二三の実力

　妹の詩とともに5月の世界選手権で兄妹優勝。2番手との差が大きいと判断され、パリ五輪は早期の代表内定を勝ち取った。五輪連覇へ、胸に秘める目標は「圧倒的に勝つ」。世界選手権以来の実戦だったこの日は全試合で完遂し、「その目標に対して、空回りせず落ち着いてできた」と頷いた。

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　圧勝は詩も同じ。相手の棄権で不戦勝だった1回戦を除けば、オール一本勝ちだった。しかも、準決勝は46秒、決勝は59秒の秒殺劇。8月に稽古で肋骨を痛め、2か月ほど練習できないなど完璧なコンディションではなかったが、パリ本番でもあり得ること。「パリへの通過点。本調子じゃなくても勝てるようにすることを意識した」と視線は別次元の方角を向いていた。

　そんな詩が「自分の柔道を貫くのが凄い。私にはできないといつも思う」と感服するのが兄の実力。この日の海外選手たちは一二三の技を警戒し、後ろ重心になり気味。絶対王者は「だから、今日は大外刈が決まる。でも、試合が変われば違うかもしれない。一つのことをずっとやるのではなく、幅を利かせてもっともっと自分の柔道を意識していきたい」と慢心はない。

　パリ五輪へゆとりをもって調整できる。2人は数試合を挟む予定。一二三が「自分の柔道をしてパリに繋げられれば」と言えば、詩も「迷ったり、くよくよしたりする暇はない」と稽古にやる気。2024年は「兄妹五輪連覇」の偉業を果たす年だ。