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「政治家はヒーローではない」 世界陸上未踏の地・アフリカ、現地記者が開催実現を訴える理由

「貧困もあるし、紛争もある。アフリカでは今…」

 第1回の1983年ヘルシンキ大会から今大会の第19回までアフリカ、南米、豪州の開催はなし。欧州12回、アジア5回、北米2回だった。日本はすでに開催が決まっている2025年の東京大会で3回目(大阪1回)。経済効果をもたらし、多くの国が競い合えば陸上競技を発展させられる。セイフ氏は少しだけ嫉妬心を滲ませた。

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「アフリカにもチャンスがあっていいはずだ。多くの観衆がいる。欧州のようにね。人口が10億人以上いるんだ。彼らは陸上が大好き。フットボールも人気だけど、陸上が一番愛されているスポーツだね。南アフリカ、ナイジェリア、エチオピア、ケニア。北アフリカでもそう。世界陸上を制したビッグ選手がたくさんいる。世界陸上をアフリカに連れてくるために、彼らをアンバサダーとして使うことができるだろう」

 中長距離のイメージが強いエチオピア。今大会は女子1万メートルでメダルを独占するなど、当たり前のように長年上位に名を連ねる。「エチオピアにはブダペストのような素晴らしいスタジアムはないが、ケニアには可能性があるだろう」。現在、母国では6万人収容のスタジアムを建設中という。

 冒頭の質問に対し、WAのセバスチャン・コー会長は「極めて優れたアスリートを数々輩出してきた大陸だ。世界陸上を(アフリカで)見たいというのは私の野望だ」と返答。過去にはアンダー世代の世界大会は開催され、「それぞれ大きな成功を収めた。すでにアフリカの連盟とはかなりの話をしている。間違いなく、私たちはその(アフリカ開催の)コンセプトに反対ではない」と前向きな姿勢を強調した。

 アフリカのランナーも世界陸上、五輪の中長距離を盛り上げてきたと自負する同氏。「日本の人たちがアフリカ選手(の実力)に敬意を払ってくれていることは知っているよ。欧州でも、アメリカでもそうだ」。今大会もデッドヒートを繰り広げるアフリカ選手たちに対し、欧米の観客は分け隔てなく声援を送り、興奮していた。ハイレベルなパフォーマンスは国境を越えて熱狂を生む。

 費用、会場、暑さなど課題は多い。なぜ、そうまでしでアフリカ開催を熱く求めるのか。競技発展、経済効果。そして、何物にも代えがたいものがある。

「私たちには多くのヒーローが必要だ。貧困もあるし、紛争もある。アフリカでは今、唯一のヒーローはアスリートなんだ。政治家はヒーローではない。スポーツ界にしかヒーローはいないんだ」

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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