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ラグビー日本代表、世界「最上位層」入りの背景 加速する“縦軸”交流、王国NZと提携した意義

日本の格上げの背景にあるW杯2大会での躍進

 このような経度を軸とした連携による恩恵の1つは、時差の影響を減らせることが挙げられる。日本にとっても、移動時間こそ10時間近くかかっても、数時間の時差しかないオセアニア地域との交流は選手の身体的な負担が少なく、主催者側にも試合放映時間などの興行面でもメリットがある。それにも増して、強豪揃いの南半球とのさらなる交流が図れるとすれば、日本への見返りは大きいはずだ。ロビンソンCEOも、経度を軸とした連携の可能性を認めている。

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「こういうコラボレーションというのは、以前よりもポジティブに捉えられてきています。その過程にはコロナによるパンデミックで各国協会がチャレンジングな立場に置かれたこと、その後のノーマルな世界を取り戻しつつあるなかで、既存の国際的な流れがある一方で、今回のような双方向性のパートナーシップが実現しているのです」

 仮定の話になるが、今回の提携にNZとも密接な繋がりを持ち続けるオーストラリアを巻き込むことができれば、NZ豪日という3か国を軸として、南太平洋諸国も含めた新たな国際ラグビーの極へと発展する可能性も秘める。

 NZとの連携が締結されたのに続くように、さらに日本への追い風が吹いた。統括団体であるワールドラグビーの理事会で、日本がHUという枠組みに入ることが認められたのだ。

 ラグビー界では、伝統的に「ティア1」「ティア2」という表現で、世界各国を実力分けしてきた。だが、この表現自体が正式な定義ではなく、あくまで“目安”から発生したものだ。ティア1と呼ばれる国は、世界トップ10クラス、あるいはW杯ベスト8が常連の強豪国であり、ティア2はティア1圏外の世界ランキング10位台(前半)という仕分けだ。

 日本は伝統的に、ティア2と位置づけられてきた。ワールドラグビーでは、このような曖昧な枠組みから、各国を明確に「競技力だけではなく、収支の規模、ワールドラグビーが主催する大会の開催実績や開催意思を持っているか」(岩渕専務理事)などで評価付けし、クラス分けしたのがHUという枠組みだ。構成国は6か国対抗、ラグビーチャンピオンシップに参加する計10か国、つまりティア1にプラスして日本となり、その下部にはパフォーマンスユニオンというカテゴリーが設けられた。

 日本の“昇格”の理由について、同専務理事は「W杯2大会でのパフォーマンスが当然、今に繋がっている大きな要因の一つだと思う」と指摘。2015年W杯での南アフリカ代表撃破、19年大会のベスト8進出などで、海外ラグビー関係者、メディアでも日本がティア1に昇格するべきだとの指摘もされてきたが、ワールドラグビーが新たな枠組みを作るタイミングで、主要協会の仲間入りが認められた形だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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