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U20日本代表の秘密兵器に? 英名門大に通う19歳、母の祖国で追うプロラグビー選手になる夢

パワーやスピードで完全に突破を許すシーンは1度もなし

 田邉ACが指摘するのは、海外の大学では日本以上に進んでいるオンラインでの単位取得だ。過去の取材経験の中でも、オーストラリア代表HO(フッカー)として2009年に来日したタタフ・ポロタナウにインタビューした時に、当時の遠征メンバーの中でも10人程度は、オンラインで受講できる大学で単位を取っているという話を聞いて日本との格差を感じていた。だが、このオンラインでの受講の可否について、ハリー自身は「ダラムでは、対面で出席しなければならない授業があります。また、ラグビー部の水準は非常に高く、試合時間の多いプロのラグビーに成長するためのいい機会だと思う」と、在学するあと3年間はダラムと船橋での二刀流の選択を続ける見通しだ。

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 ピッチ上でのハリーのポテンシャルに話を戻すと、わずかな実戦時間の中で判断できたのは、現時点では原石だということだ。磨きようでどこまで輝くのかは未知数な部分もある。候補合宿でジャージーを脱いだ上半身を見ると、日本のリーグワン選手ほどまでもビルドアップされていないのが分かる。S東京ベイのようなリーグワンチームのジムなど施設を継続的に活用すれば、1年を待たずにかなり体のボリュームアップができるはずだ。伸びしろはふんだんにある。

 候補合宿での実戦が限定的だったこともあり、4月23日に行われた東京サントリーサンゴリアスとの練習マッチで、さらに長い時間、高い強度の中でのプレーを見ることができた。

 このゲームで後半からピッチに立つと、最初は様子を見ながら仲間をサポートするようなプレーが多かった。U20でのゲームと同じような滑り出しだったが、パスを受けると力強いキャリーを見せ、ハードタックルも披露。パワーやスピードで完全に突破を許すようなシーンは1度もなかった。高校を卒業して1年程度という世代で、東京SGのSO(スタンドオフ)森谷圭介やWTB(ウイング)中鶴隆彰ら公式戦の経験豊富なメンバーを相手に、しっかりと渡り合えるポテンシャルを見せた。

 前出の今野ACも「これがウチでの2試合目だったが、前の試合より成長している。正直まだチームとしての動きが分かってないなかで、あれだけ動けて、プレーできていればいいですよね。これからも日本で練習を続けるので、どんどん成長できると思う。チャンスがあるのなら、U20代表にもチャレンジしてほしい」と期待を込める。

 ハリーが選んだ日英二刀流の挑戦を、クボタ側でも理解し、応援していくという。選手のリクルートも担う前川泰慶チームディレクターだ。

「本人はプロでプレーしたいという思いがある。その一方で、大学で勉強して、しっかり卒業してほしいというご両親の期待に応えたい気持ちもある。なので、我々としては大学に通いながら、練習生としてチームでこういうことをやるのだとイメージしながら大学生活を続けてくれればいいと考えています。卒業する時に、ウチを選んでくれればいいという思いです。それでもまだ21、22歳ですから」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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