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猛暑で問われる部活のあり方 ボトムアップ理論が実証した「量より質」の重要性

「僕はベンチでコーヒーを飲んでいたら勝っちゃいました」――畑喜美夫(生徒主導で部活を実践する“ボトムアップ理論”の発案者)

今夏もノックアウト方式の連戦を強いている高校サッカーのインターハイ【写真:Getty Images】
今夏もノックアウト方式の連戦を強いている高校サッカーのインターハイ【写真:Getty Images】

真夏に行われるインターハイ、変わらぬノックアウト方式の連戦

「僕はベンチでコーヒーを飲んでいたら勝っちゃいました」――畑喜美夫(生徒主導で部活を実践する“ボトムアップ理論”の発案者)

 今年の高校サッカーにもインターハイの季節がやって来た。

 大会方式は長年変わっていない。年間を通して最も暑い夏休みの日中にノックアウト方式の連戦を強いるのだ。

 同じように、高体連の部活の指導方法も、長い間変化の兆しが見えなかった。指導者は選手たちの限界意識を打ち破らせるために、敢えて理不尽な要求を課し、暴力も加えてしごいた。それが心身を鍛える唯一の方法だと信じる指導者が大勢を占め、反則タックル問題が浮上した日大アメフト部などは、明らかにその典型だった。

 だが畑喜美夫は、こうして盲目的に練習量ばかりを競う風潮を疑問視し、部活の主導権を生徒たちに渡した。指導者がけん引するトップダウン方式から、選手たちが主体的に活動をしていくボトムアップ方式への転換だった。

 全国の強豪校が「日本一」を目指したのに対し、畑が生徒たちと話し合って標榜したのは「日本一魅力あるチーム作り」だった。その上で組織作りの基本として3つの柱を作った。

「量より質」
「信頼と絆」
「自主自立の精神」

 強豪校が連日朝練習から始まり、夜になっても走り込むなかで、畑が指導する広島観音高校では、全体練習を週2回に止め、その代わり翌日には体を動かすのも嫌になるくらい負荷をかけた。選手たちからは、この練習量では勝てないのでは…という不安も出たが、日本で最も走り込んでいる強豪校との試合で圧勝し、その効果も立証した。そして同校に赴任して10年目の2006年大阪インターハイで全国制覇を達成するのだった。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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