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フランスW杯4強へ、残り1年でやるべきこと 日本代表ジョセフHCが語る躍進のシナリオ

2強のどちらかを倒すことが8強超えの最低条件

 厳しい現実に晒されたのが、2020年12月に行われたフランス大会の抽選会だった。日本と同じプールDに入ったのは、イングランドとアルゼンチン。その後の地域予選でサモア、チリも確定している。この抽選の瞬間からジェイミージャパンには、8チームによる決勝トーナメント進出を目指し、打倒イングランド、アルゼンチンという困難な道程がスタートした。

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 世界ランキング(9月5日現在)を見ると、日本の10位に対してイングランドが5位、アルゼンチンも6位と、ともに上位に立つ。最近の直接対決でも2018年11月にイングランドに15-35、2016年11月にはアルゼンチンに20-54で敗れている。同11位のサモアも日本と同じティア2のライバルだが、2015年、19年大会で勝利している実績を考えれば、同21位のチリと同様“マストウイン”の相手になる。

 イングランドは、2015年W杯で日本代表を率いて南アフリカを撃破したエディー・ジョーンズHCが率いる。伝統の重厚なFWでゲームを支配し、エディー流のボールを動かすスキルとスピードも武器として磨きこんできた。19年大会は決勝で南アフリカに屈したが、準決勝で優勝候補のニュージーランドを倒して、その底力を印象付けた。アルゼンチンも強力な防御を強みに、今年8月にはニュージーランドを敵地で初めて沈めるなど、着実に進化を続けている。ジェイミージャパンにとっては、最低でもこの2強のいずれかを倒さなければ、4強どころか前回大会の成績までも辿り着くことすら不可能だ。指揮官の慎重なコメントも無理はない。

 ジョセフHCがW杯フランス大会での挑戦に厳しい視点を持つのには、もう一つの理由がある。それはパンデミックにより強化時間を失ったことだ。“出遅れ”と表現したほうが適切かもしれない。W杯まであと1年という名目で行われた会見では、現在の強化段階を2019年大会までと比べて、こう語っている。

「(前回W杯よりも)まだ遅れをとっていると思います。ハードワークをしていないということではなく、コロナの影響や選手の怪我、代表を引退した選手もいます。この環境のなかで、ワールドカップまで引き続き選手を成長させていかないといけない」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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