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休部の宗像サニックス、なぜライバルからも愛された? 選手の姿に見えた敬意の理由

対戦相手の清水建設江東ブルーシャークスが準備したブルースへの感謝を込めたTシャツは、来場者にも配られた【写真:吉田宏】
対戦相手の清水建設江東ブルーシャークスが準備したブルースへの感謝を込めたTシャツは、来場者にも配られた【写真:吉田宏】

「永遠のノーサイド」を対戦相手も特別な思いで演出

 練習グラウンドでの取材の最後、そんなリーダーに自身が感じるチームの良さを聞いてみた。

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「いいも悪いも、仲がいいというところですかね。スタイルとしては、やっぱりサニックスはアタックだと思うんです。サニックスのいいディフェンスを観に来た人はたぶんいないと思う。アタックでボールを継続して、ボールが動いて、負けているけど観ていて楽しいのが、昔からあった(魅力だ)と思います。負けているけどボールが動いて、楽しいと思っていたらいつの間にか最後に逆転して勝つという、そういうところがサニックスらしい。だから僕らは、アタックを継続して、ボールを動かすことをやらないといけない。しんどいなかでもアタックをし続けるのは、僕らの文化だと思います」

 チーム最後の戦いには、入院中だった屋宜主将の姿もあった。「病院から名古屋にきて、また病院に戻ります」。メンバーとともに会場入りした時は笑って語ってくれたが、4月3日に痛めた左足を引きずりながら歩く姿からは、怪我の重さは十分に分かった。出場は叶わなかったが、主将としてラストゲームを観戦すると「どうしても最後は見届けたいと思って、ここ(瑞穂)まで来ました。選手のすごく頑張って戦う姿を見れて、個人的には本当に嬉しかった。メンバーに感謝の気持ちを伝えたいです。休部については、あまり実感が湧いていないという気持ちもある。終わってしまったけれど、なんだろう、まだ続いているんじゃないかという感覚があります。これに関しては、たぶん数日後にあらためて実感するのかなと思いますが、寂しい気持ちがあるのは確かです」と穏やかな表情で語った。

 永遠のノーサイドに、ライバルたちも特別な思いで迎え撃った。

 ブルースにとって最後のホームゲームとなった4月30日の対戦で40-26と快勝したブルーシャークスは、試合へのミーティングで選手1人ひとりが決意を書き込んだホワイトボードの中央に、大きく「RESPECT(尊敬)」と書き出し、対戦相手へ持つべき気持ちを確認。試合後にはメンバー全員が、ブルースのチームカラーの青地に「THANKS Blues」と書かれたTシャツを着て感謝の思いを伝えた。

 最終戦では、ホストチームのシャトルズが試合後の自分たちのディビジョン3優勝&ディビジョン2自動昇格を祝うセレモニーの多くの時間を、ブルースの監督スピーチや記念撮影に変えて、宿敵へのメッセージを作成して大型マルチスクリーンに映し出した。選手、スタッフとしてブルースと対戦してきた夏山昌利GMは「トップリーグ発足直前の参入争いから、何度も昇格争いで悔しい思いをさせられてきたチームですから。どうしても、何か自分たちの思いを伝えたかった」と、チームが自主的に考えた“さよならセレモニー”を感慨深げに見守った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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