休部の宗像サニックス、なぜライバルからも愛された? 選手の姿に見えた敬意の理由
今季限りでの活動休止を発表していたラグビー・リーグワン3部の宗像サニックスブルースが8日、豊田自動織機シャトルズ愛知との順位決定戦に臨み、29-55で敗れて28年の歴史に幕を下ろした。事実上の廃部という悲しい現実を前に、屈強な男たちはどんな思いで最後の戦いに臨んだのか。後編では筆者が4月下旬に宗像・玄海グラウンドを訪問。松園正隆監督、副将の高島卓久馬へのインタビューを軸に、最後の瞬間まで全力で戦い続けたチームの姿を追った。(取材・文=吉田 宏)
宗像サニックスブルース「最後の戦い」後編、松園監督が答えに窮した質問
今季限りでの活動休止を発表していたラグビー・リーグワン3部の宗像サニックスブルースが8日、豊田自動織機シャトルズ愛知との順位決定戦に臨み、29-55で敗れて28年の歴史に幕を下ろした。事実上の廃部という悲しい現実を前に、屈強な男たちはどんな思いで最後の戦いに臨んだのか。後編では筆者が4月下旬に宗像・玄海グラウンドを訪問。松園正隆監督、副将の高島卓久馬へのインタビューを軸に、最後の瞬間まで全力で戦い続けたチームの姿を追った。(取材・文=吉田 宏)
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8日に行われた豊田自動織機シャトルズ愛知との最終戦後の記者会見で、宗像サニックスブルースの松園正隆監督は冷静な受け答えを続けていたが、突然声を詰まらせる場面があった。ブルースとして戦う、すべての試合が終わった実感を聞いた時だ。
「ええ、まぁ。うーん、そうですね。サニックスに誰よりも長く携わってきて……チームができて3年目のシーズンからずっと関わって、現役も長いことさせていただいて……。その後もスタッフとして入って、人生の半分以上はチームに関わっているので、なくなるという……今、正直実感はないですけれど、本当にそうなると。うーん……何か、うん……自分の何か……自分の中の大事なものが1つ抜け落ちる……欠けてしまうというのが正直な今の気持ちです」
言葉を選びながら、腹から絞り出すような声は少し震えていた。言葉だけではなく、質問に答えようとする指揮官の仕草に、自分の体の一部を抉り取られるような無念さ、悔しさ、そして理不尽さが滲み出ていた。
過去にも何度か業績が難しい時期もあったサニックスだが、事業もチームもなんとか乗り越えてきた。だが今回は、今年の2月に会社側からチームに休部も含めて検討中という説明があり、翌月30日に正式に発表された。
「自分が入社した27年前からでも、会社の業績でチームがなくなる現実も見てきました。企業チームだと、母体企業の業績如何ではそういうふうになると分かっていましたし、サニックス自体も大きな会社ではない。去年のコカ・コーラさんの件もありましたので、企業のトップがそう判断するのであれば、そうなるんだなというのは身に染みて分かっていたことなので、まさかという思いと同時に、自分のところにもきてしまったというのが実感でした」