「世界でも珍しい」と海外勢驚き 7人制女子ラグビー「太陽生命シリーズ」の存在価値
第2戦と第3戦では参加チームが「16」に拡大
当時、日本代表HCだった浅見副会長は、それまでにない大会の開催をこう振り返る。
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「まだ競技人口が少ない時代でした。スタッフや立ち上げていただいた人たちが一生懸命頑張ってくれていたけれど、一方でどれだけ選手が増えるかなという不安はすごくありました。選手層が薄いところで、怪我の問題は懸念材料だった。当時、女子は特に怪我が多かったので、大会が成り立っていくのかと。4ラウンドの大会は男子でも大変だと思いますけど、毎回(試合ごとの登録メンバーの)12人が元気な選手を出していく、1大会で6試合を戦うなんて国内ではやったことがなかった」
懸念を抱きながらも敢えてキックオフに踏み切ったのは、世界に一歩でも近づきたいという野心と、日本で女子ラグビーをさらに普及させたいという熱意からだった。不安をよそに、シーズンを重ねるごとに女子選手が憧れ、競技力がアップする大会に成長してきたが、そこにはチーム、スタッフの理解が欠かせなかったという。
「いわゆるフロントと呼ばれるチームの方たちが、一生懸命にクラブチームの組織化に力を注いでくれました。それまでの女子ラグビーは週1回程度、集まって練習という同好会のようなレベルでした。でも、それじゃチームとして成り立っていくのは難しい。
そこを、チームを支援する企業さん、応援していただいている地域の皆さんも巻き込んでやっていただいているチームがほとんどだと思いますけど、太陽生命シリーズのような大会に出るために、さらに協力していただいてきた。大会を重ねるなかで、チームがいろいろな外国のトップ選手を呼んでいただいたことで、それまで国内だけでプレーしてきた日本の選手たちは、一緒に試合をすることで自信をなくすこともあったけれど、逆に自分もやれるんだという経験を得られたのは大きな収穫でした」
女子選手の憧れのトーナメントに成長した太陽生命シリーズだが、今回は大きなバージョンアップも決まっている。全4大会のなかで、第2戦・静岡エコパ大会(5月14、15日)、第3戦・鈴鹿大会(6月4、5日)は参加チームが従来の12から16に拡大。より多くの選手、チームに門戸が広げられた。出場枠の拡大を、浅見副会長はこう説明する。
「このシリーズを将来的にどう発展させていくのかをずっと話し合うなかで、日本の女子ラグビーをもう一個上に上げたいという思いから、ちょっとやってみようかということで浮上したプランです。太陽生命シリーズを観ていて、自分も出場したいという選手が増えています。でも、その一方でコアチーム(大会参加が決まっている国内強豪12チーム)以外は、自分たちが実際にどれくらいのレベルかが、たぶん分からない選手も多いんです。
コアチーム入り前に、まず1、2試合チャレンジする場があれば、チームとしてどんな強化が必要かを考えることができると思っていました。選手個々も、もっとやらなきゃいけない、自分もできるんだという課題や自信を感じられれば、コアチームの選手に対してもいいプレッシャーになると期待しています」