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前園真聖、遠藤保仁らを育成 鹿児島の名将、「どげんかせんと」で極めた独自の指導論

スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回は高校サッカーの名門、鹿児島実業の礎を築いた名将の言葉から、各地域が持つアイデンティティと育成の関係について説いている。

鹿児島実業高出身の遠藤保仁。日本代表として長年活躍した【写真:Getty Images】
鹿児島実業高出身の遠藤保仁。日本代表として長年活躍した【写真:Getty Images】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:部活が育んだ日本サッカーの地域色

 スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回は高校サッカーの名門、鹿児島実業の礎を築いた名将の言葉から、各地域が持つアイデンティティと育成の関係について説いている。

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 かつて日本サッカーの育成は、一個の強烈なカリスマによって成り立っていた。端的に言えば、高体連のサッカー部の顧問。その個性が高校サッカーでブランド化し、次々にタレントを生み出してきた。

「考えられない」

 欧州や南米の関係者にとって、それは信じられないことだ。

 今や日本も主流になりつつあるが、クラブチームでの指導が世界では一般的である。学校教育の中でのサッカー指導でプロ選手を生み出すケースは非常に珍しい。いわんや、大学まで進学してサッカーを続け(大学には籍を置いていても、サッカー部所属はあまり考えられない)、プロになるなど異例だ。

 しかし、日本では「部活」がサッカーを育んできた。実は、それが地域色を打ち出し、独自性にもつながったとも言われる。教育を第一とする日本の土壌に合っていた側面も間違いなくある。

 そこで、「故きを温めて新しきを知る」のも一つの育成論と言える。かつてのことを持ち出すと、精神論で括られることもあるが、決して一括りにはできない。先人の知恵と努力があった。

 2008年11月、筆者は鹿児島市、高台に立つ鹿児島実業高校を訪れている。桜島を一望する景色は絶景だった。「鹿実」と呼ばれたサッカー部は、高校選手権で2度の優勝を経験するなど、強豪として名を轟かせ、多くの日本を代表する選手を出すことになった。城彰二、前園真聖、遠藤保仁、松井大輔、伊野波雅彦、平瀬智行など枚挙にいとまがない。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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