厳しさを増す女子ゴルフ戦国時代 メジャー制覇の三ヶ島かなも闘った「職場を失う怖さ」
極限状態で掴んだプロテスト合格「ご飯が喉を通らず…」
それでも、当時はプロテスト不合格者でも受験できたQTを最終5位で突破。2016年シーズンはツアー開幕戦から出場できたが、このテスト不合格で2年後のシーズン中に苦しむことになった。18年、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)が「原則として、19年からはQT受験資格をプロテスト合格者らに付与される『JLPGA正会員』に限る」と規定を改正したからだ。
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ツアーに出ている三ヶ島らの場合、前年に続いて賞金ランク50位以内に入ってシード権を獲得するか、ツアー優勝すれば「正会員」にはなれる改正もあったが、18年前半の三ヶ島は成績が振るわなかった。
「開幕から調子が上がらないままに、最終プロテストを迎えることになりました。それに2日前までツアーの試合に出ていて、翌日の月曜日に全く知らないコースを初めて練習でラウンドしました。真夏で熱中症気味の中、幡野夏生ちゃん、篠崎愛ちゃんと3人で回って、どっちに打てばいいかを教えてもらいました」
三ヶ島は18ホールを回って、さらに不安になっていた。コース設定が想像以上に優しかったからだ。
「スコアが出る設定になっていて、『こんなに緩いとまずい』と思いました。実際にテストが始まっても毎日、前半のハーフを29や28で回る選手が出ていました。なので、最低でもアンダーを出しておかないといけない状況。それに私はシード選手で、テスト前から『もう1枠は埋まっているね』と変なプレッシャーをかけられていましたので」
第3Rを終えて、三ヶ島は通算8アンダーで13位タイ。プラス2打で合格圏を外れる状況で最終Rを迎えた。調子は良くなかったが、66をマークして通算14アンダーの7位でフィニッシュ。念願の合格を勝ち取った。
「本当に苦しかったです。ご飯が喉を通らずにオロナミンCを飲んでしのぎました。シード選手なのに、テストを受けないといけない辛さと『情けない』という思いもありました。ようやく合格して、涙が止まりませんでした。今は1度落ちて良かったと思えますが、当時はとても辛かったです。一緒に練習ラウンドをしてくれた2人は恩人です」