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渋野日向子と戦った高3佐藤心結 「最後の弟子にしよう」三觜喜一コーチとの9年物語

2020-2021年の国内女子ゴルフツアーに出場したアマチュア選手で、最もインパクトを残したのは、佐藤心結(さとう・みゆ=明秀学園日立高3年)だった。スタンレーレディス(2021年10月8~10日、静岡・東名CC)で、渋野日向子らとのプレーオフに進出。惜しくも敗れたが、その後のプロテストで一発合格を果たし、ツアー最終予選会(QT)も上位で通過した。「THE ANSWER」ではその素顔に迫るべく、佐藤と三觜喜一コーチを取材。共に歩んだ9年間を振り返り、この先のビジョンを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 柳田通斉)

佐藤心結と三觜喜一コーチ【写真:中戸川知世】
佐藤心結と三觜喜一コーチ【写真:中戸川知世】

プロテスト一発合格&QT通過で来季ツアー出場へ、ドライバー270ヤード超「能力は断トツ」

 2020-2021年の国内女子ゴルフツアーに出場したアマチュア選手で、最もインパクトを残したのは、佐藤心結(さとう・みゆ=明秀学園日立高3年)だった。スタンレーレディス(2021年10月8~10日、静岡・東名CC)で、渋野日向子らとのプレーオフに進出。惜しくも敗れたが、その後のプロテストで一発合格を果たし、ツアー最終予選会(QT)も上位で通過した。「THE ANSWER」ではその素顔に迫るべく、佐藤と三觜喜一コーチを取材。共に歩んだ9年間を振り返り、この先のビジョンを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 柳田通斉)

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 11月5日。佐藤がポロポロと大粒の涙を流した。2021年度最終プロテストを4位で合格し、会見で感想を求められた時だった。

佐藤「家族やコーチ、お世話になった方々の顔が次々と浮かんで来て、急に涙があふれました。私は小さい頃から負けず嫌いで、できるだけ人前では泣かないようにしてきましたが、うれし泣きは初めてでした。自分でも驚いていますが、いろんな苦労があったので……」

 ただ、佐藤はこの約1か月前にも泣いている。スタンレーレディス最終日、プレーオフで渋野に敗れた直後だ。キャディーを務めていた三觜コーチは言った。

三觜コーチ「僕自身、心結の涙を見たのは初めてでした。あと1歩で勝ってプロテスト免除、1年間のツアー出場でしたし、相当悔しかったと思います。あの試合は本気で勝ちにいってましたし、心結もその気でした。それだけの力が心結にはあります。技術はまだまだですが、潜在能力はプロを含めても断トツですから」

 三觜コーチの言葉通り、佐藤はあと一歩で優勝と「プロテスト免除」の権利を逃した。しかし、270ヤード超のドライバーショットと高弾道のアイアンショット、勝負強いパッティングは、ゴルフファンを大いに驚かせた。突然、現れたスター候補。彼女にはどういう歩みがあったのだろうか。

佐藤「ゴルフを始めたのは7歳で、コーチのところに来たのは、9歳の時です。祖父が『プロを目指すなら、三觜さんの指導を受けた方がいい』ということをゴルフ仲間の人から聞いたようで、私は母に連れられて来ました」

三觜コーチ「僕はスクールに申し込みがあった時、必ず子供と1対1で面接をして、本当に自分でゴルフをしたいのかを確かめるのですが、心結はすごくいい目をしていたんです。『将来、どうなりたいの?』と聞いたら、『プロになって、お父さん、お母さんに大きな家を買いたい』と。トレーニングをさせると、足は速いし、バネもある。なかなかゴルフ界に来ないタイプだと思いました。そして、心結をジュニアでは最後の弟子にしようと決めました。僕は『子供を預かったら10年は見る』と決めていて、当時の年齢(36歳)を考えて、『あと10年、熱量を持って見ていく』と決意しました」

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