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ラグビー日本代表、5-60完敗の真相 アイルランドで“ダブリンの屈辱”はなぜ起きたか

ラグビー日本代表は、ヨーロッパ遠征第1戦(6日、ダブリン)でアイルランド代表に5-60で完敗した。2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では19-12と初勝利を挙げ、今回と同じダブリンで行われた今年7月の対戦でも31-39と競り合った相手に、よもやの大敗。これで日本は、南アフリカ代表に敗れた2019年W杯準々決勝から5連敗と試練が続く。新型コロナウイルスの影響による強化時間・実戦不足、新たな戦力の発掘など様々なハードルがある中で、アイルランドの予想を超えた戦い方に9トライを奪われ屈した。2023年のラグビーW杯で、前回大会のベスト8超えを目指し強化を進める日本だが、世界がさらに進化していることを見せつけられた格好だ。この“ダブリンの屈辱”から読み取れる日本の課題と可能性を検証する。(文=吉田 宏)

アイルランド代表に完敗から読み取れる日本の課題と可能性を検証【写真:(C)JRFU】
アイルランド代表に完敗から読み取れる日本の課題と可能性を検証【写真:(C)JRFU】

ヨーロッパ遠征第1戦でアイルランドに大敗、60失点は3年ぶり

 ラグビー日本代表は、ヨーロッパ遠征第1戦(6日、ダブリン)でアイルランド代表に5-60で完敗した。2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では19-12と初勝利を挙げ、今回と同じダブリンで行われた今年7月の対戦でも31-39と競り合った相手に、よもやの大敗。これで日本は、南アフリカ代表に敗れた2019年W杯準々決勝から5連敗と試練が続く。新型コロナウイルスの影響による強化時間・実戦不足、新たな戦力の発掘など様々なハードルがある中で、アイルランドの予想を超えた戦い方に9トライを奪われ屈した。2023年のラグビーW杯で、前回大会のベスト8超えを目指し強化を進める日本だが、世界がさらに進化していることを見せつけられた格好だ。この“ダブリンの屈辱”から読み取れる日本の課題と可能性を検証する。(文=吉田 宏)

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 2023年W杯に向けて強化を進める日本代表にとっては、厳しい現実が突きつけられた。60点を奪われる大敗は、2018年11月のニュージーランド戦(31-69)以来。過去10年でも4回だけという大量失点に、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も厳しい現実を認めた。

「パンデミックの影響で準備が遅れているのは確かです。試合も少なかったが、W杯まで2年でのこの遅れを取り戻していきたい。今日は非常に強いアイルランドと戦うことができた。今後できることをやっていくしかない」

 強化の遅れを会見で敢えて口にしたのは、ジョセフHCの中にも思うものがあったのだろうが、コメントの通り、遅れを取り戻していくしかない問題だ。ピッチの中に目を向ければ、先発メンバーに7月の対戦では不在だった全英&アイルランド代表「ライオンズ」の5人と、主将SOジョナサン・セクストンが加わったアイルランドに叩きのめされた。

 だが、強力布陣以上にアイルランドの予想外の攻撃スタイルに、キックオフ直後から圧倒される形となった。伝統的にはボールを確実に保持しながら、キックを交えて陣地を押し上げスコアを狙うのがアイルランドの戦い方。平たく言えば、FWを軸にオーソドックスなラグビーをしてきたチームが、この日は伝統をかなぐり捨てたようにボールを動かし続けた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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