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“怪童”父に持つワセダの逸材は必見 将来の日本代表入りが期待される逸材たち【BK編】

佳境に突入する関東大学ラグビーの有望選手、お薦めの原石を紹介する後半はBK編。2023年、27年ワールドカップでの活躍が期待される逸材から異色のプレーヤーまで、対抗戦、リーグ戦両グループともに必見の才能がひしめいている。

東海大SO武藤ゆらぎ&早大SO・FB河瀬諒介【写真:(C)JERFU】
東海大SO武藤ゆらぎ&早大SO・FB河瀬諒介【写真:(C)JERFU】

佳境の関東大学ラグビー、ファン必見の次世代の有望選手を紹介【後編】

 佳境に突入する関東大学ラグビーの有望選手、お薦めの原石を紹介する後半はBK編。2023年、27年ワールドカップでの活躍が期待される逸材から異色のプレーヤーまで、対抗戦、リーグ戦両グループともに必見の才能がひしめいている。

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 煌びやかなトライゲッター、ランナーが揃うBKは、例えるならラグビーの華。今季の大学リーグにも、多彩なタレントが揃っている。

 FWに続き大学王者・早大の注目選手から紹介するが、7日の筑波大戦でサプライズが起きた。1年生の公式戦デビューからFBで活躍してきた河瀬諒介(東海大仰星=3年)がSOで初先発。指令塔として無傷の5勝目に貢献した。

 河瀬は明大、日本代表でNO8として活躍して“怪童”と呼ばれた河瀬泰治・摂南大総監督を父に持ち、高校時代からFB、WTBで抜群の決定力が注目されてきた。今季は怪我で開幕から欠場が続いたが、4戦目の帝京大戦で途中出場して復帰すると、次戦で予想外のコンバートを演じてみせた。

 大学トップ選手のFBからSOへのコンバートは、昨季明大の山沢京平(深谷=4年)を思い出す。河瀬本人は「高校で1試合だけ経験した。自己採点は60点くらい」と背番号10でのプレーを振り返ったが、大抜擢した相良南海夫監督が「キックが出来ることと、ランのオプションがある選手がSOの位置にいるのは相手にとっては嫌なところ」と語るように、まずはFBで実績のあるキック力を期待されての起用が大きいのだろう。

 同時に、身長183センチの長身と、FBで磨いたアタック能力を生かして、SOでも自らが前に出てBKラインを引っ張り上げることができれば、チームの攻撃力は倍増するはずだ。SO兼FBとして経験を積めば、高校―大学の先輩で、昨秋のW杯でも奮闘した山中亮平(神戸製鋼)を超える存在に成長する可能性を秘めている。

 河瀬と高校時代から同じチームで活躍するのがCTB長田智希(東海大仰星=3年)だ。華麗な独走トライも、相手を吹っ飛ばす豪快な突破もないが、早大では1年から公式戦に出場。その最大の持ち味は、ボールを動かし、BKラインをアグレッシブに操る、広い視野に基づいた判断力。その洞察力は、ピンチと判断したときの集中力抜群のディフェンスにも表れる。

 前半戦の天王山と位置付けられた帝京大戦では、自陣ゴール前のピンチにジャッカルで相手の攻撃を寸断すると、直後の敵陣での右オープン攻撃では、帝京ディフェンダーのウィークショルダー(強度の弱い内側の肩)を崩して突破する好判断のランからトライを生み出すなど、攻守にいぶし銀の活躍を披露。チームの大学選手権連覇に欠かせないキーマンだ。

 SH小西泰聖(桐蔭学園=2年)は、期待通りの成長を見せている。高校時代から評価されてきたのは瞬発力抜群のスピード。1年生だった昨季は主将の齋藤直人(サントリー)の陰に隠れた存在だったが、日大との大学選手権準々決勝で途中出場すると、直後にゴール前スクラムからサイドを突き、相手防御に体を触らせないスピードでトライを決めている。

 正ポジションを与えたられた今季は、課題だったパスワークの精度、ボール捌きの速さを進化させ、早大の生命線でもあるテンポの速い攻撃を作り出している。パスワークを重視したプレーぶりが目立つが、チャンスと判断したときのサイドアタック、快足を生かしたサポートランでも、相手チームに脅威を与えている。小西にとっては絶対的な存在だった高校―大学の先輩・齋藤が、ニュージーランド代表に例えればパスワークを軸にオールラウンドに能力を見せるアーロン・スミスなら、小西はSO、WTBでもプレーできる快足と個人技を誇るPJペレナラタイプ。次世代の日本代表の9番を、3歳差の先輩ととともに争える可能性を秘めている。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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