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ケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀も疾走 クラファンで福井に生まれた「今までにない大会」

フィールド内には特別観覧席が設置され、大型ビジョンでの演出も行われた【写真:荒川祐史】
フィールド内には特別観覧席が設置され、大型ビジョンでの演出も行われた【写真:荒川祐史】

選手の理解には苦心「最初は煙たがられていた」

「大会は広告費で運営することが多いんですが、国体や日本インカレの後で、通常の大会も開催している中、なかなか新しい大会に追加で協賛金はいただけない。どうしようかと話をしていて、ネットでちらっと見たのがきっかけです。

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 筑波大が箱根駅伝に出るためにクラウドファウンディングを使っているというのを見て『こんなのもありますよ』と言ったら、『そのまま担当しろ』と(笑)。私も見て言っただけなので、当初は正しいシステムを理解できていないまま、勉強しながらやっていましたね」

 クラウドファウンディングについて理解するのに労力はかからなかったが、SNS等で情報を拡散しなければならず、工夫が必要だった。それ以上に苦心したのは、選手からの理解を得ることだ。

「新しい大会を創るということで、話に行っても『なにするの?』『お金儲けには付き合えません』みたいな感じで、最初は煙たがられることもありました」

 理解を得るため、できることは足を使うこと。週末になれば各地を飛び回り、何度も顔を合わせてやりたいことを伝えた。結果、多数のトップアスリートの参加が実現。心配していたクラウドファウンディングも、県内外から「全く予想していない」ほど反響があった。

 大型ビジョンを使った演出、アップテンポなBGM、登場選手の名前をコールするなどして雰囲気を作り上げた昨年の第1回ANGには約1万人が訪れた。埋め尽くされた競技場を思い起こし、吉田氏は「凄かったですよ」と振り返る。

「観客と選手、会場に一体感があって、いい風が吹いて。夕方で涼しくて、という全てがかみ合った状態でした。選手が紹介されたら大コールが起きる、大応援団がいるような形になった。他のスポーツでもなかなかないのかなと」

 会場の「9.98スタジアム」は、2017年に桐生が日本勢初の9秒台(9秒98)をマークしている競技場。夕方以降ホームストレート方向に吹く絶妙な追い風が特徴だ。それを活かせる走り幅跳び、短距離レースの6種類に限定して競技を実施した。昨年は男子走り幅跳び、男子110メートル障害で日本記録が生まれるなど、好記録が連発。風と観客からの声援が、選手の力を引き出していた。

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