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日本代表の強化にも追い風 ワールドラグビーが構想する“ティア2世界大会”とは

忘れられない2011年W杯のウェールズ代表FLウォーバートンの衝撃

 2011年のW杯での衝撃を今でも覚えている。ベスト4まで勝ち上がったウェールズ代表で、強烈なタックルとブレークダウンの激しいプレーで大会を盛り上げたFLサム・ウォーバートンは23歳の若さで主将として世界最高峰の舞台で戦った。U20代表としてプレーした翌年には正代表に選ばれ、2年後のW杯では主将として大暴れしていた。

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 ウォーバートンが象徴するように、世界の強豪国ではU20の世界大会で活躍した選手は、大会翌年、2年後には正代表で活躍している。これは、ほぼすべての上位国が国内でプロリーグを運営して、協会主導のユース強化との両輪でアカデミーによる育成にも力を注いでいるからだ。日本のユース世代を見てみると、このU20世代から代表に選ばれるまでに、強豪国にはない一拍の“間”がある。

 U20で活躍した選手が、大学リーグで主力となり、その後はTLチームで若手として鍛えられ、入団2年、3年後にレギュラーメンバーに浮上して、ようやく代表入りの対象に浮上するのだ。このラグビー進化の“ミッシングリンク”は、CTB梶村祐介、HO堀越康介らが社会人1年目から代表に招聘されるなど年々縮まっているのは間違いないが、まだ彼らは2011年のウォーバートンには達してない。代表入り前の世代のさらなる強化が求められる状況は変わらない。

 W杯日本大会後で日本代表を8強まで引き上げたジョセフHCも、昨年11月に続投が決まったときに発表したコメントで「次のW杯に向けての準備は今日から始まっている。2023年のワンチーム(日本代表のスローガン)の一員になりたいと思っている若い選手の皆さんも、今から挑戦を始めることが大切」と敢えて若手選手にメッセージを伝えている。日本大会以上の結果を残すためには、レギュラークラスの15人だけでは勝ち上がっていけないことは日本以外の8強諸国を見れば歴然だ。

 ジュニア・ジャパンによる参戦にハードルがあるとすれば、おそらく“金と時間”だろう。日本ラグビー協会は、予算の多くを日本代表強化に注いできた。協会がジュニア・ジャパン強化のための予算を捻出し、テストマッチではない国際大会や強化合宿に所属チームから選手を派遣することを同意させることができれば、ジョセフHCが2023年W杯へ向けて求める選手層の厚みは増すことになる。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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