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パワハラを起こす「7つの習慣」とは 8年前に体罰で辞任、過ち語る高校ラグビー元監督の願い

自らの失敗を後輩指導者たちの部活指導に生かしてほしい――。そんな思いで講演や勉強会を続ける強豪ラグビー部の元監督がいる。松井英幸。千葉・流通経済大柏高ラグビー部を、創部当時から指導を続けて花園出場25回、関東を代表するチームに育てた名将だ。初の全国制覇を目指してチームを強化していた2015年に、選手への暴力行為の責任を取って現場を離れ、スポーツ指導とは何かを自問し、学び続けてきた。現在は一般財団法人日本プロスピーカー協会スポーツ部会長として監督・コーチ、父母らへの講演を展開する“ラグビー界のしくじり先生”に、自らの失敗も踏まえて部活の現場で指導者に求められる姿を聞いた。(取材・文=吉田 宏)

流通経済大柏高ラグビー部の松井英幸元監督【写真:吉田宏】
流通経済大柏高ラグビー部の松井英幸元監督【写真:吉田宏】

流通経済大柏高ラグビー部の松井英幸元監督が、自らの失敗を伝える講演会

 自らの失敗を後輩指導者たちの部活指導に生かしてほしい――。そんな思いで講演や勉強会を続ける強豪ラグビー部の元監督がいる。松井英幸。千葉・流通経済大柏高ラグビー部を、創部当時から指導を続けて花園出場25回、関東を代表するチームに育てた名将だ。初の全国制覇を目指してチームを強化していた2015年に、選手への暴力行為の責任を取って現場を離れ、スポーツ指導とは何かを自問し、学び続けてきた。現在は一般財団法人日本プロスピーカー協会スポーツ部会長として監督・コーチ、父母らへの講演を展開する“ラグビー界のしくじり先生”に、自らの失敗も踏まえて部活の現場で指導者に求められる姿を聞いた。(取材・文=吉田 宏)

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 スキンヘッドに日焼けした顔。強面という表現は失礼だろうか。そのワイルド系の風貌は、千葉のヘラクレス軍団・流経大柏高を全国区の強豪へと鍛え上げた時と変わらない。だが今、自らの言葉を投げかけるのは、いかつい高校ラガーではなく、彼らの指導者や父母たちだ。4月2日、品川区で行われた同区ラグビー協会主催のセミナー「しくじり先生のスポーツ指導相談室/パワハラ指導に陥らないために」で、松井さんは自らが犯した過ちについて、参加者にこう語りかけた。

「私自身の指導を振り返ると、自分の正しさだけで選手に(指導を)押しつけていた。だから、ああいうことが起きたんだなと思います。当時はNHKやヤフーニュースでトップになるような大事件になってしまい、いち指導者だけじゃなく、チーム、預かった生徒、父母にも家族にも迷惑をかけてしまった。巻き添えにしてしまった」

 今回のコラムは当時の体罰問題を振り返ることが目的ではないので、出来事の詳細には触れないが、結果的に監督も教員も辞する憂き目にあった。流経大柏高ラグビー部をゼロから全国トップクラスの実力を誇る名門に育て上げた松井さんだったが、辞任から8年という歳月が過ぎても、直接の現場指導からは距離を置き続ける。所属する日本プロスピーカー協会は、すべての行動は自分自身の選択だと考える「選択理論心理学」を基本的な考え方として、いじめや差別、虐待がない世界の実現を目指している。スポーツ部会では、スポーツチームや選手の高い競技性と良好な人間関係の両立を活動目標に掲げているが、松井さんの願いはシンプルだ。

「私のような、しくじる教員、指導者を二度と輩出してはいけないという思いです。そのために、いろいろな人たちが集ってくれて、スポーツ部会という形になりました。スポーツの目指すところは勝つことは絶対大事だと思います。でもその先に、スポーツの最終的な目標は何かというところに私たちが出した結論は、スポーツで、スポーツを通して人生を幸せにすることを考慮するべきじゃないかということです。そこからスポーツハピネスという言葉を作り出しました」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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