「鬼鬼メニュー」の言葉が独り歩き 一山麻緒を育てた名将、妥協なき指導の原点とは
永山コーチが追い求める「選手の笑顔」
永山コーチが目指すゴールは、どういうものになるのだろうか。
「私は、監督とかコーチ業は仕事だと割り切っています。選手が、例えば五輪に出てメダルを獲るのが夢だと言うなら、私も同じ夢を見させてもらいたい。そのために努力していくだけですので、自分のゴールとかはないんです」
では、指導者としてのやりがいは、どういうところに感じているのだろうか。
「選手の笑顔ですね。自分と一緒に苦しみながら練習をして、準備してきたなかで最高の笑顔でゴールする。それが一番です」
福士、一山を日本トップクラスの選手に育てたが、育成には終わりがない。永山コーチも新たな場所での指導に意欲を燃やす。
「本当は東京五輪が終わった時、ワコールは定年でしたので、もう現場から離れてもいいかなと思っていたんです。でも、福士くんの引退と一山くんが東京に来ることと私の定年が重なって、今回資生堂という新しいチームにお世話になることが決まりました。私は、どちらかというと拾ってもらった身なので、なんとしても結果を出して恩返しをしたい。五輪に5回行っていますけど、すべて失敗しているので、1回は成功したい。その舞台がパリだと思っています」
【第1回】福士加代子、一山麻緒を輝かせた「裏方の経験」 五輪に5度導いた名将が貫くこだわり
(佐藤 俊 / Shun Sato)