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「息子が試合に出してもらえない」と言う母 ドイツで実感した小学生指導の心配り

2年ほど前になるだろうか。妻のママ友から相談を受けたことがある。

成長の機会を与える…ドイツのサッカー指導とは【写真:Getty Images】
成長の機会を与える…ドイツのサッカー指導とは【写真:Getty Images】

【ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」】成長に合わせカテゴリーごとに設定された指導テーマ

 2年ほど前になるだろうか。妻のママ友から相談を受けたことがある。

「息子のヤンがあまり試合に出してもらえないんだけど、どうしたらいいかな? 何かできることはあるかな?」

 ヤンは当時小学3年生。僕たちの住む地域では、だいたいFユースからEユースに上がる年頃だ。

 ドイツでは2学年1カテゴリーとして捉えられる。U18-U19を「Aユース」、U16-U17を「Bユース」というふうに呼ばれるわけだ。こちらでは生まれ年で学年分けをするわけだが、学校は9月スタートということもあり、日本における学年分けとは少し異なる。例えば、こちらの小学1年生は生まれ年でU7かU8に属すことになる。

 さてFユース(U8-U9:小学1~2年生相当)までは、前後半に分かれた形式の試合は基本的に行われない。その地域のどこか1チームが主催者となり、周辺エリアからチームを招いてトゥルニア(トーナメント=参加チーム総当たりのミニゲーム大会)が行われることが多い。幼稚園から小学校低学年までの年代の目的は、とにかくサッカーを楽しむこと、その中で試合経験を積むことだからだ。

 トゥルニアに1回出場すれば、1試合10分程度、5対5のミニゲームに1日4~6試合参加できる。審判は基本的にいない。順位もついたり、つかなかったりと大会によって異なるが、成績に関係なく、すべての参加選手には賞状やメダルや記念品が渡される。とにかく子どもが試合に出て、試合を楽しむ。

 監督もそれを知っているから、能力に関係なく、どんどん子どもを出す。疲れてきたら下げる。少し休んで元気になったらまた出す。1日の中で、子どもはものすごい経験値を得る。幅広い場面を経験し、同年代のいろんなタイプの子どもに出会い、点を取り、取られて、最後には景品をもらって笑って帰路につく。

 だが、Eユース(U10-U11:小学3~4年生相当)から、いよいよリーグ戦が始まる。ピッチサイズはミニゲーム時代の倍近く広くなり、7対7で戦うわけだ。まだ昇格・降格こそないが、審判がつき、リーグ内での順位を争うようになる。ヤンはそのEユースになった途端、試合にあまり起用されなくなったのだという。Eユースでも交代は無制限にできるはずなのにと、ヤンのお母さんは不服そうだ。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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