バスケ名門レアル・マドリードコーチ NBA選手生んだ欧州最高峰「考えさせる」指導論
バスケットボールのスペイン1部リーグ、レアル・マドリードのコーチが、東京・八王子市内で16日から24日までクリニックを開催した。同クラブが設立した財団主催のバスケ教室。16日からの2日間は、指導者向けの講習を実施した。
NBAマーベリックスのドンチッチ輩出、世界2位スペインの名門がコーチ向け講習実施
バスケットボールのスペイン1部リーグ、レアル・マドリードのコーチが、東京・八王子市内で16日から24日までクリニックを開催した。同クラブが設立した財団主催のバスケ教室。16日からの2日間は、指導者向けの講習を実施した。
男子スペイン代表は五輪で3度の銀メダルを獲得し、2006年世界選手権で優勝。米国に次ぐ世界ランク2位の強豪国だ。サッカーでは言わずと知れたレアル・マドリードだが、バスケットボールでもスペイン1部で35度、欧州最高峰のユーロリーグで10度の優勝を誇る名門。同クラブでコーチを務めて7年目になるマヌエル・マテオ・ラバナール氏が、通訳を交えて日本の指導者にコーチング論を伝えた。
日本で部活動や社会人チームなど、小学生から大人まで幅広い層でコーチを務める参加者がクリニックに集まった。12~14歳の選手を指導するラバナール氏は、最初に互いに自己紹介をするとともに普段指導する相手の年齢、何を学ぶために参加したのかを一人ひとり確認。約4時間の座学や3時間の実技で理論を語った。
繰り返し口にしたのは、練習する以前に「方法論」と「計画」を用意し「意味のある練習時間を増やすこと」に重点を置くこと。方法論は2種類に分かれる。1つはコーチが質問を繰り返し、選手自身に課題解決の方法を見つけさせるやり方。もう1つは、コーチは課題を与えるだけで、あとは選手がそれを理解し、自分で何をすべきか決めさせるやり方。計画は、施設や練習時間などチームを知ることと、選手個々の年齢やレベルを知ることの2つを大切にして立てていくべきだという。
座学の初めに伝えたのは、選手に考えさせることの大切さだった。例えば、右手でレイアップシュートをした選手がブロックされた場合。「どうしたの?」と聞けば「右手のレイアップがブロックされた」と答える。「選手は基本的に何が起きたかは理解している。大事なのは『Why?』。なんでブロックをされたのかを聞くことで初めて子供が考える」とラバナール氏。自分で考え出した子は、右側に相手がいる場合は左手でシュートすべきだとわかってくるという。
フィードバックも重要。プレーをしながら指示を聞ける選手なのか、時間を一度止めて伝えるべきなのかなど、選手によってコーチが言葉やタイミングを変えていく。ラバナール氏の失敗談として、選手が試合で指示を聞いている最中に失点してしまうこともあったという。「コーチを見なくても『聞こえているよ』という合図を作ることも大事。フィードバックはコーチがどううまく使うかです」と体験を交えて話した。
選手、チームを知ることも欠かせない。指導対象が大人か、子供か。頭を使うのが得意な子なのか、体を動かす方が得意な子なのか。グループの特性を知り「一つの練習でも、個人の違いを考えないといけない」。計画、選手の経験値、施設や使える用具、一つ一つの練習のゴール(目的)を明確にすること。ゴールは一つの練習に1つか2つ、多くても3つ。練習後に選手がわかりやすく復習できることが大切だ。