「ゴルフはお金がかかる」を覆す歩み 女子ゴルフ界話題の双子姉妹を育てた父の方針
通い始めたゴルフ練習場「ありがたかった」ボール代無料
元気いっぱいの2人は、雄士さんのクラブを懸命に振った。楽しくて、楽しくて、雄士さんが「今度のクリスマス、サンタさんに何をお願いする?」と聞くと、「自分のゴルフクラブ!」と声をそろえた。すると、クリスマスの朝、枕元には2つの小さなゴルフバッグ(明愛はブルー、千怜はピンク)が置かれていた。「やったー」。飛び上がって喜んだ2人が、10キロ離れたリンクスゴルフクラブ(毛呂山町)に通う日々が始まった。
「ありがたかったのは、この練習場のボール代が小学生は無料だったことです。それがなければ、通わせられませんでした」(雄士さん)
コースデビューは小2の夏(10年8月5日)で、スコアは明愛139、千怜162だったが、その後、同練習場の永井哲二プロから指導を受け始めると、メキメキと腕を上げていった。さらに2歳下の弟・光太も加わり、陸上、ゴルフの毎日。本格的に家計のやりくりが始まった。
「まず、私の小遣いが月2万円になりました(笑)。飲みに行くこと、タバコ、パチンコを止めました。でも、子供たちと一緒にいる時間が楽しくて、苦にはなりませんでしたね」(雄士さん)
そして、雄士さんは子供たちのためにさらに動いた。ジュニア大会で面識のない選手の親、関係者にあいさつし、「ためになる情報」を収集。姉妹が小6秋、リンクスゴルフクラブでヨネックスの試打会が開催されていることを知ると、姉妹を参加させた。その場で2人が披露したショットが、担当者をひきつけた。
「『きれいなスイングですね』から始まり、翌日、競技成績をお見せして、モニター契約のお話をいただきました。それまで中古のクラブを買い替えていたので、ものすごく助かりました」(雄士さん)
姉妹が中2になると、雄士さんは、中学生、高校生のエリートゴルファーを育成する「チームKGA(関東ゴルフ連盟)ジュニア」の存在を知った。埼玉県ゴルフ協会からの推薦を受け、2人は参加した選考会に合格。翌年には光太も合格した。
「これも岩井家には大きかったです。嵐山CCなど、連盟に加盟しているコースでの練習環境が整いましたので」(雄士さん)