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デーデー・ブルーノ、夢はパリへ サッカー時代の劣等感をプラスに変えた恩師の指導法

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。今回は陸上男子400メートルリレーで代表に選ばれたデーデー・ブルーノ(東海大)を育てた恩師の指導論。惜しくも出番はなかったものの、本格的に陸上を始めてわずか5年で代表入りした急成長ぶりは将来の活躍に大きな期待を抱かせた。恩師で松本国際高(長野)陸上部の山﨑豊茂顧問に当時の育成法を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部)

陸上男子400メートルリレーのデーデー・ブルーノ【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
陸上男子400メートルリレーのデーデー・ブルーノ【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#84

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。今回は陸上男子400メートルリレーで代表に選ばれたデーデー・ブルーノ(東海大)を育てた恩師の指導論。惜しくも出番はなかったものの、本格的に陸上を始めてわずか5年で代表入りした急成長ぶりは将来の活躍に大きな期待を抱かせた。恩師で松本国際高(長野)陸上部の山﨑豊茂顧問に当時の育成法を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部)

 ◇ ◇ ◇

 金メダルが期待された400メートルリレー決勝は、まさかの結末になった。日本は1走の多田修平(住友電工)と2走の山縣亮太(セイコー)の間でバトンがつながらず、途中棄権。桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)に回ることなく、無念の終戦となった。

 その様子を、スタンドで見つめていたのがブルーノだった。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。6月の日本選手権では100メートル、200メートルともに2位。特に100メートルでは桐生や山縣を抑える健闘ぶりで、陸上界の新星としてその名を轟かせた。

ブルーノは創造学園高(現松本国際高)1年までサッカー部に所属。秋口に退部し、2年生から陸上部の門をたたいた。最初は陸上部の生徒から紹介を受けたが、山﨑監督は拒否。4月になって、ブルーノ自身が希望してきたため、受け入れた。

 そのときブルーノは「友達と一緒に部活やりたいです」と話していた。全国大会どころか、県大会も夢のまた夢。山﨑監督はサッカー部を辞めたブルーノに、空白期間があることを考慮し、「半年、スポーツをやっていなかったので、のんびりやろう」と声をかけた。

 サッカースパイクしか持っていなかったブルーノに、陸上の基礎を教えることからスタート。競技で結果を出すよりも、残り2年間、最後までやり遂げることをまずは目標に据えた。陸上のイロハを同級生や先輩を通じて教えさせ、早く部活になじんでもらうことを心掛けた。

 指導を押し付けることはなかった。山﨑監督の指導法はおおらかで、褒めて伸ばすことが根幹にある。尊敬する指導者は、シドニー五輪金メダルの高橋尚子氏を育てた同じ千葉出身の小出義雄さんだった。

「小出さんの本を何冊も読んでいて、すごく憧れましたね。小出さんが『自分は選手としては全然だったけど、選手にはすごい可能性があって、褒めれば伸びる、強くなる』とコメントを残していたときに、すごいいい言葉だな、褒められた人間はやる気になるよなと思っていました」

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