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日本代表監督トルシエが求めた“サッカー型人間” ビジネスでも大切な認知、判断、実行のスキル

FC市川GUNNERSを創設した幸野健一は、小学3年生までサッカーと野球をかけ持っていた。

日韓ワールドカップで日本代表を指揮したフィリップ・トルシエ【写真:Getty Images】
日韓ワールドカップで日本代表を指揮したフィリップ・トルシエ【写真:Getty Images】

【幸野健一が挑む日本のスポーツ文化改革|第6回】大人の言うことを聞く日本人にサッカーは「本来向かない」スポーツ

 FC市川GUNNERSを創設した幸野健一は、小学3年生までサッカーと野球をかけ持っていた。

 野球は投手で4番。ある時、無死一、二塁の好機で打順が回ってきた。ところがバッターボックスに入りベンチを見ると、監督がバントのサインを出している。冗談じゃない、と思った。無視して強振するとホームラン。自分の判断が正しかったことを証明できてしっかりと見返せたつもりだったが、逆に次の試合から呼ばれなくなってしまった。

「それをきっかけに野球は辞めました。俺はサッカーの人間だと思ったんです。野球は監督の言うことがすべてで、自分で考えてやってはいけない。でもサッカーは自由です。後ろで監督が何を叫ぼうが、ボールを持ったら何をするのも自分の責任で決める。幼稚園児でも、足もとにボールがあって『これどうすればいいの?』とは聞きません」

 しかし反面サッカーに夢中になりながら、日本人には向かないスポーツだと実感してきた。

「サッカーは狩猟民族が、彼らのメンタリティーに合わせて生み出したスポーツ。主体は選手なんです。MFはパスを回すけれど、FWはゴール前でチャレンジをして相手を抜き、ゴールを決めてこなければならない。

 それはまさに家長が家族のためにイノシシを殺しに行く構図と同じです。人は一人では生きていけないけれど、必要な時は責任を負う。争いごとがあると『まあまあ』と宥め合って、最終的な責任を取りたくないからシュートではなくパスを選択してしまう日本人には本来向かない」

“どうしてAにパスを出したの?”――コーチとして同じ質問をしても、英国と日本の子どもでは反応が正反対だ。

「英国人は『Bがオーバーラップするのが見えたからだけど、コーチ、俺のパスに何か文句あるのか?』と自己主張をしながら聞き返してきます。でも日本の子どもたちは、じっと僕の目を見て、その中に正解を探そうとするんです。コーチ(大人)の言うことは聞くものだと教わってきているからでしょうね」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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