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W杯でイングランドを倒せるか ラグビー日本代表、大野均が語る“金星”再現の条件

日本代表最多98キャップを持つ大野均氏【写真提供:東芝ブレイブルーパス東京】
日本代表最多98キャップを持つ大野均氏【写真提供:東芝ブレイブルーパス東京】

前後半1本ずつのトライを獲れれば「チャンスが見えてくる」

 日本代表は伝統的に反則やラフプレーが少ないクリーンなチームとして知られている。だが、体を張った百戦錬磨の戦いを続けてきた大野氏には、イングランドのような強豪と競り合い、打ち倒すためには、いわゆる“グレーゾーン”と呼ばれるようなプレーがいかに重要かが、体にも脳裏にも沁みついているのだろう。

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 最後に、大野氏が思い描く18か月後の日本対イングランドのシナリオを語ってもらった。

「まず、日本代表がしっかりボールを保持できれば、世界の強豪からトライを獲る力はあると思います。それこそ15年の南アフリカ戦(34-32)くらいのスコアに持ち込めるかが1つのポイントでしょう。南アフリカ戦のようにPG合戦で接戦に持ち込むことができれば、相手を消耗させて優位に立ち、最後に反則からPGを決めて2点差で勝つというイメージですね。日本は2018年のイングランド戦で15-35というゲームをしていますが、前半は15-10とリードで終えている。2023年はイングランドを20点台くらいに抑えて、逆に日本は前後半1本ずつくらいのトライを獲れればチャンスが見えてくる。そんなゲーム展開を期待しています」

 フランスの風光明媚なリゾート地ニースで行われるイングランド代表戦とのキックオフは2023年9月17日。今年11月には敵地トゥイッケナムでの前哨戦も決まっている。W杯での決戦までに残された時間で、互いに選手、戦術も積み上げられるため、「いま」の力もどう変化していくか読めない部分もあるが、日本が大一番でやるべきことの大半はすでに決まっているのかもしれない。

 最終回では、大野氏を世界クラスの選手へと鍛え上げ、日本代表が世界の8強に食い込むまでに進化した礎を作ったエディー・ジョーンズHCへの思い、W杯という最高の舞台で戦うことの意義、そして日本代表の進化の軌跡を語ってもらう。

【2023年W杯プールD・日本代表の試合日程】
9月10日 vsアメリカ地区2位(トゥールーズ)
9月17日 vsイングランド(ニース)
9月28日 vsサモア(トゥールーズ)
10月8日 vsアルゼンチン(ナント)
※現地時間

【日本代表のイングランド戦成績】
1971年9月24日 ●19-27(大阪・花園ラグビー場)
1971年9月28日 ●3-6(東京・秩父宮ラグビー場)
1979年5月13日 ●19-21(大阪・花園ラグビー場)
1979年5月20日 ●18-38(東京・国立競技場)
1986年10月11日 ●12-39(英国・トゥイッケナム)
1987年5月30日 ●7-60(W杯/シドニー・コンコードオーバル)
2003年7月3日 ●10-37(東京・味の素スタジアム)
2003年7月6日 ●20-55(東京・国立競技場)
2018年11月18日 ●15-35(英国・トゥイッケナム)
※日本ラグビー協会認定によるテストマッチ

(最終回へ続く)

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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大野 均

ラグビー元日本代表 
1978年5月6日生まれ、福島県出身。小学生時代から野球を続け、日大進学後にラグビー選手としてのキャリアをスタート。身長192センチの恵まれた体躯を武器に頭角を現すと、卒業後は東芝府中ラグビー部(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。日本代表にも2004年から選出され、通算キャップ数「98」は歴代最多。W杯にも07年から3大会連続で出場している。20年に現役を引退し、現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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