W杯でイングランドを倒せるか ラグビー日本代表、大野均が語る“金星”再現の条件
日本代表最多98キャップを持つ大野均氏(東芝ブレイブルーパス東京アンバサダー)が、6か国対抗ラグビーを終えたばかりのイングランド代表について語る連載第2回。大野氏も師と仰ぐエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるイングランドについて、前回はゲームから読み取った強さを語ってもらったが、今回は来年のラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で対戦する日本代表が、プールD“最強の相手”にどう戦うのか、そして史上初の金星へのシナリオを語ってもらった。ジョーンズHCを知り尽くす大野氏ならではの、敵将の指導者像、人間性も踏まえた言葉の中に最強の相手の倒し方が見えてくる。(取材・文=吉田 宏)
ラグビー元日本代表LO大野均氏、「イングランド代表分析」第2回
日本代表最多98キャップを持つ大野均氏(東芝ブレイブルーパス東京アンバサダー)が、6か国対抗ラグビーを終えたばかりのイングランド代表について語る連載第2回。大野氏も師と仰ぐエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるイングランドについて、前回はゲームから読み取った強さを語ってもらったが、今回は来年のラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で対戦する日本代表が、プールD“最強の相手”にどう戦うのか、そして史上初の金星へのシナリオを語ってもらった。ジョーンズHCを知り尽くす大野氏ならではの、敵将の指導者像、人間性も踏まえた言葉の中に最強の相手の倒し方が見えてくる。(取材・文=吉田 宏)
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日本代表では最も多くのテストマッチを経験した大野氏だが、イングランド代表との直接対戦は一度もなかった。
「僕の時代は、まだなかなか世界トップの強豪と簡単に試合は組めなかった。イングランドとは対戦自体がありませんでしたが、ヨーロッパのライバル国との試合を通じて、感じるものはありました」
大野氏が初めて代表入りした2004年に、日本代表は秋のヨーロッパ遠征でスコットランド、ウェールズと対戦。翌年にはアイルランドも来日したが、大野氏はなんとWTB(ウイング)での出場記録がある。ヨーロッパ諸国、いや世界でも最も伝統と格式のあるラグビーの母国イングランドとは、日本は過去9度の対戦があるが、大野氏の代表時代にテストマッチが組まれることはなかった。それでも、常にイングランドと渡り合ってきたライバル3か国との対戦を通じて感じた強いイメージがあるという。
「初めてのヨーロッパ遠征や、WTBだったのでスクラムは組まなかったが翌年のアイルランド戦で感じたのは、やはりヨーロッパの強豪のスクラムへのこだわり、強さです」
ニュージーランドら南半球の強豪がボールを積極的に動かすのとは対照的に、ヨーロッパ諸国はFW(フォワード)のパワーを基軸に戦術を組み立てる。その最たるチームがイングランドだ。敵陣に攻め込めば、強力なスクラムで重圧をかけ、相手が反則を犯せばPG(ペナルティゴール)で着実に加点する。日本代表も、ヨーロッパの強豪にはサイズ、フィジカルで苦しめられてきた。今回の6か国対抗でも、大野氏はアイルランド戦でのイングランドのスクラムを高く評価しているが、2023年の直接対戦へ向けては日本のFWに期待感を高めている。
「日本相手の試合では、エディーさんは間違いなくスクラムで重圧をかけ、優位に立とうとしてくるはず。でも、今の日本代表もスクラムは決して弱くない。あのイングランドの強力なスクラムにも、低く組むことができればドミネート(圧倒)されることはないはずです」