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ラグビーW杯で日本と同組 大野均が見た難敵イングランド、“エディー流”の共通点とは

北半球最強を争う6か国対抗ラグビーが、現地時間19日に幕を閉じた。来年のラグビーワールドカップ(W杯)で開催国優勝を狙うフランスがグランドスラム(5戦全勝)と圧倒的な強さを見せ、昨年日本代表を2度倒したアイルランドもホームユニオンと呼ばれる英国系3か国を倒す安定感を証明するなかで、日本のファンが最も注目したのはイングランド代表だろう。

ラグビー・イングランド代表を元日本代表大野均氏が分析【写真:AP】
ラグビー・イングランド代表を元日本代表大野均氏が分析【写真:AP】

ラグビー元日本代表LO大野均氏、「イングランド代表分析」第1回

 北半球最強を争う6か国対抗ラグビーが、現地時間19日に幕を閉じた。来年のラグビーワールドカップ(W杯)で開催国優勝を狙うフランスがグランドスラム(5戦全勝)と圧倒的な強さを見せ、昨年日本代表を2度倒したアイルランドもホームユニオンと呼ばれる英国系3か国を倒す安定感を証明するなかで、日本のファンが最も注目したのはイングランド代表だろう。

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 開幕まで18か月となった2023年ラグビーW杯で、日本代表が入ったプールDの「最強の相手」こそが、15年まで日本を指揮したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が率いる、このラグビーの母国だ。注目の激突へ向けて、日本代表歴代最多の98キャップを誇る“レジェンド”大野均氏(東芝ブレイブルーパス東京アンバサダー)に、フランスへの試金石となる大会で見せたイングランドの強さを語ってもらった。(取材・文=吉田 宏)

 ◇ ◇ ◇

 6か国対抗では2勝3敗の3位に終わったイングランド。だが、日本代表で最も多くのテストマッチを戦った男、大野氏はその真価を迷いなく断言した。

「強いのは間違いない。スコットランド戦は試合を締めようとした後半25分のペナルティートライから落としたし、アイルランドには78分を14人で戦い、後半25分まで同点で食い下がった。王者フランスでも、イングランドの前に出るディフェンスがはまると、なす術がなかった。W杯で優勝を狙える力はありますね」

 不動の指令塔、SO(スタンドオフ)オーウェン・ファレルが怪我で不在のなかで敗れた3試合中、スコットランドには17-20、アイルランドには開始2分で退場者を出しながら終盤まで互角の戦いを演じている。大野氏がイングランドの一番の強みと感じたのが、このチームの伝統とエディーの持ち込んだこだわりの融合だ。

「FW(フォワード)が強いのは間違いない。でも、その中で、細かいパスも巧みに使っている」

 オリンピック種目やサッカーのような「代表資格=国籍」ではないラグビーは、今やどの代表チームもダイバーシティの時代を迎えている。その一方で、イングランドは伝統的に体の大きなアングロサクソン系のチーム。対して、ケルト人が中心だったアイルランド、ウェールズ、スコットランド、そしてフランスというラテン系の諸国は、サイズ的には“小兵”とされてきた。今も、イングランドは伝統のパワーをベースにしたラグビースタイルを強みとするが、大野氏は、そこにパスワークという武器を磨き込んでいるのがエディー・イングランドの特徴と指摘する。

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大野 均

ラグビー元日本代表 
1978年5月6日生まれ、福島県出身。小学生時代から野球を続け、日大進学後にラグビー選手としてのキャリアをスタート。身長192センチの恵まれた体躯を武器に頭角を現すと、卒業後は東芝府中ラグビー部(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。日本代表にも2004年から選出され、通算キャップ数「98」は歴代最多。W杯にも07年から3大会連続で出場している。20年に現役を引退し、現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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