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4回転時代に坂本花織が獲った五輪メダルの価値 鈴木明子「世界のスケーターの希望に」

4年間で急速に進化した女子フィギュア「北京五輪を終えた今、思うのは…」

 一方で、SP1位のワリエワ選手は衝撃的でした。練習を見る限り、ここまで崩れるとは思ってもいませんでした。初出場の五輪で、金メダル最有力と言われた中、想像もしない状況で本番に臨むことになり、精神面に難しさがあったのではないか、ということは推測できます。

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 フィギュアスケートはメンタルが大きく関わるスポーツ。ワリエワ選手に限らず、練習でできているものを本番で出すことがいかに難しいか。私自身、少しの不安、焦りなど、一つの歯車が狂っただけで、一瞬にして演技が崩れてしまうことを何度も経験してきました。

 逆にハマった時に最大限の力を発揮できる。フィギュアスケートという競技は、まさにギリギリの勝負です。アスリートも一人の人間。機械ではありません。そこに心があるからこそ、メンタルひとつで揺れ動く。その競技性は、この大会から知ってもらえたらと思います。

 さて、振り返ってみると、前回の平昌五輪でアリーナ・ザギトワ選手が金メダルを獲得してから4年。女子フィギュア界の景色は一変しました。

 ここでも話している通り、ジャンプをはじめとした技術が急速に進化。それはスポーツとしての素晴らしさを感じつつ、北京五輪を終えた今、思うのは今大会に出場した10代の選手たちが次の五輪も目指し、次の4年間で成長した姿がまた見られたらいいな、ということ。

 今大会はもちろん上位陣の戦いも心に刻まれましたが、10位だった米国のマライア・ベル選手(25歳)、17位だったドイツのニコル・ショット選手(25歳)、20位だったチェコのエリスカ・ブレジノバ選手(25歳)は、長く続けたからこそ生まれるスケート。本当に熟成されたもので、「ああ、こういうスケートを見せてもらって嬉しいな」と解説をしながら感じていました。

 ただ表現が熟成されているだけではなく、今まで難度より1つ上げた構成を組み、チャレンジする姿を見た時、今10代でこの五輪にいる選手たちが次の五輪で見られたらいいな、と。そういう息の長い選手たちが、また次の五輪もチャレンジしようと前を見てくれることが願いです。

 最後に。団体戦のメダルを含め、日本の女子選手にとっては素晴らしい大会になりました。

 今回メダルを獲った坂本選手、3回転アクセルを跳んだ樋口選手の活躍は、日本の選手たちに本当に刺激になったはずです。しかもその2人が切磋琢磨しながら、高め合いながらも乗り越えた姿をみんな知っている。そうやって日本の女子は強くなった歴史があります。

 これが引き続き、選手が高め合いながら高みを目指していくこと。そして、それが続いていくこと。これもまた、私の大きな願いです。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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鈴木 明子

THE ANSWERスペシャリスト プロフィギュアスケーター

1985年3月28日生まれ。愛知県出身。6歳からスケートを始め、00年に15歳で初出場した全日本選手権で4位に入り、脚光を浴びる。東北福祉大入学後に摂食障害を患い、03-04年シーズンは休養。翌シーズンに復帰後は09年全日本選手権2位となり、24歳で初の表彰台。10年バンクーバー五輪8位入賞。以降、12年世界選手権3位、13年全日本選手権優勝などの実績を残し、14年ソチ五輪で2大会連続8位入賞。同年の世界選手権を最後に29歳で現役引退した。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、全国で講演活動も行う。

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